第146話 カオリが家出!

「さてあとどの位、箝口令が持つか分からないけど、早めにあの国のアキレス腱を探してくるわよ、お兄ちゃんは適当に言っておくから、あなた達が面倒を見てよね」

耐えられない雰囲気の5人、そして王女様が椅子から飛び降り土下座して来る。


「すいません大公様、私達はこの領都に戻る途中、色々な方に喋ってしまいました!」


王女様は床に頭を付けている、残りの4人も同じく椅子から降り土下座。

沈黙の時間が流れる。


「良いわよ蘭ちゃん、顔をあげてくれる」

許されると思った王女様だけど、顔をあげた時に怒りの顔のカオリを見てしまった!

「ヒッヒー」

その声に4人も顔を上げると。

「「「「ヒッヒー」」」」

今度は熊に会い腰が抜けた人の様に後退りする5人、タダ後ろには壁が立ちはだかる。


「全く持って!蘭は何を考えているのよ!この国の危機なのにペラペラと情報を出して!どうするのこのおバカ達!」

カオリは腕を組み、片足がリズムを刻んでいる。


この光景に5人は漏らしそうになるけど、流石は大人だから漏らさない。


「フー、怒っても人の口に戸板は立てられない! まあどうにかなるでしょうあの子も立派な王だからね。

ダメならこのお城で籠城してもらいましょう! 秘密の抜け道は教えてあるからすぐにこちらに来るでしょうから」

カオリも何かの策を王様に与えてあるらしい!


「じゃあ行くから、お兄ちゃんをよろしくね」

そう言って影に消えて行くカオリ。


顔を見合わせる5人。

「本当に現れたね大公様」

「ええ若返っていた、私も若返りたいよ!」

侍女長さんは天井に叫ぶ。


「私達はまだまだね!」

「ウンウン」

そこにサブマスが。

「ええと私200歳ですけど」


「「「200」」」

女性組は歳に驚くけど。


「良いな200歳のエルフ、俺も欲しい!」

1人だけ浮いているぞラインコール!


「あゝ言い忘れちゃった、身分証偽造してねラインコール! それとお兄ちゃんにお金上げすぎたから少しお小遣いをくれる蘭ちゃん」

暗闇で薄ら笑いのカオリの言葉に、5人の背中に冷や汗が流れる。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


衣装部屋から出て来るカオリ、俺の寝ているベットの隣に来たみたいだ。


(やっと会えたのに、それも昔の姿に戻して貰ったのにごめんねお兄ちゃん! 私は貴方の妹だったけど、ここではこの国を守る大公なのよ。

可愛い国民を守るために戦う女なの、だから行くね! またいつか会いましょう)

何故かカオリは、俺のホッペにキスして何処かに消えた。


翌日俺はメイドに起こされて、着替えをしている時に机の上の書き置きを見つける。

そこには、俺と会った喜びと、これからの起こりうる戦いの事が書いてあった。

もし逃げるなら最初に王都から連れて来た転生者達を一緒に連れて行って欲しいと書いてある。


俺はまだ誰にもカオリの事は言ってないし、説明もしていない!


この手紙を誰にも見せられない、さてどうするか?






    





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