第140話 カオリ動き出す!

「少しお待ち下さい王女様、今この方を旦那様とお呼びしましたか?」

総料理長は王女様に聞いて来る。


「言ったわよ!聞いていなかったの?私の旦那様よ!」

王女はドヤ顔で胸を張る!


「おめでとうございます、そしてこの事を大公様はご存知なんですね?」

「その事を含めて後で集まるから、ともかくはパンの作り方を覚えて下さい、そうしないと私達が自分で作る事になりますからね、そうなれば政治が停滞しますよ!」


慌てた総料理長。

「大変お時間を頂き、ありがとうございます。誠心誠意パンの作り方を覚えます」

「それと米の炊き方もよ! パンよりもご飯が食べたい時があるからね、米も上手くいけば手に入るからよろしく!」

今度は不思議顔の総料理長。


「米とは何ですか?ご飯て?」

「れそも含めて習いなさい、貴女に私達の食事の未来が掛かっているから!」

大層な事を言っているけど、自分が食べたいだけだろうに腹ペコ王女様。


「何か不吉な事を考えているの旦那様! 朝食を食べたら執務室で手伝って下さい」

「いや俺は総料理長に料理を教えないと」

「今彼女達に頼みました、嫌なら朝食を食べないで連行しますけど!」

「イエ食べてから手伝いますよ」

そして朝食を食べ終わると執務室で書類整理、それも夕方までだ!

昼にカオリの所に行く暇なし、1日位食べなくても生きているだろう!


俺は思っていたけど、影でカオリが騒動を起こしていた。

かつて知ったる自分の城、警備状況から隠し通路まで隅々を知っている女は、闇に隠れて移動を行っていた。


「全くお昼も帰って来ないし、困ったお兄ちゃん!自分から動くしか無いか」

思ったら即行動、若返ったカオリは自分の知っている知識で場内を駆け巡る。


そして裏口から屋敷に向かう通路で、お店を発見!

「よし、確か裏口と倉庫の間に隙間があるはず、そこから倉庫に入りましょう、

後はストックで、私の下着と洋服もあるはず、それに食料もね」

カオリは騎士たちの目を盗み裏口に、そして隙間から中の様子を伺って倉庫に潜入した。


「やはり此処は食材の宝庫ね、パンは焼きたてだしご飯もある、海苔に醤油お腹が空きすぎて手が止まらない!」

でもカオリが侵入出来たのはその日だけ、メイド達が残った食材の数が合わない事に気がついて、何と倉庫の前に騎士さんが常駐する事となった!


「何で行動が早いの蘭ちゃん、政務だけやっときなさいよ! 何でそんな時だけ行動が早いのよ!」

俺は思う、まあ盗みは良く無いよ妹よ、反省しろ!


反省しろと俺は思ったけど、コイツはちゃっかりトイレと風呂も使っていた。

侵入口は何処からかと言うと、ここって2階が無い分屋根がないんだ!

雨に降られた事が無くて忘れていたよ。


天井裏から楽に出入り出来たとの事、完全に泥棒じゃ無いのかと行ったら。

「自分家に入るんだから泥棒では無くて、ただ帰っただけよ」

と言われた!


そんなもんかと俺も思った。

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