第139話 総料理長!
そしてウトウトしていたらドアをノックされた。
「お兄さん、朝ですよ起きてくださいね!」
少し返事が遅れた。
「どうしましたお兄さん、もしかして私を誘ってます、鍵を下に取りに行ってきます」
また勘違いしているメイドだ! 仕方ないから起きる事にする。
「あゝ起きるよ、少し待っていてくれ!」
カオリはメイドの声で、起きて衣装部屋に隠れに行った。
俺は着替えて、ドアを開ける。
「王女様が鍵を持たせてくれないので、すぐに中に入れず心配でした」
俺に抱きついて来るメイドさん、その手を振り切り。
「起きたから、下に行くよ腹ペコだ!」
そして部屋の外にはメイドが4人、この子を入れて5人いつもの若いメイドさん達だね、少し眠そうだ!
そして扉を一つ開けるたびに、騎士さんが合流、先頭を歩いて下に行く。
「行きは良い良い、帰りは登り地獄だね! エレベーター欲しい」
メイドはみんな頷いている。
「エレベーターて何ですか?」
副騎士団長が聞いて来る。
「箱を上下ロープで引っ張って、楽に上に行き、下にも帰ってくる優れものだよ!」
「ほう、そのような物がお店にはあるんですね、後で見学させてください」
イヤイヤお店は平屋だから、エレベーターは付いて無いよ、どうすれば異世界の人に説明が出来るんだ。
和気藹々と話しながら、下に来ると王女様以下全員がお出迎え?
「みんなおはよう、さて朝食を食べようか? 今日も黒パンか!」
俺の陽気な挨拶にみんな怪訝顔で黙っている。
その時に背後から女性が前に出てくる、白い服にコック帽。
一目で解る料理人だね!
「おはようございます、私この城の総料理長ですけど、何故か皆様に本日の朝食を拒否されてしまいました。
何でもお城の最上階にいる御仁が、大変おいしいパンを焼くとの事!
その腕を見せて貰いたく此処でお待ちしていました」
コック帽を取り、頭を下げてくる料理長さん。
誰の企みだ! 王女様お前か!
「私を睨まないでよお兄さん、いえ旦那様! やはりみんなあの黒パンよりも柔らかいパンを食べたいのよ、なんなら和定食でも良いですけど」
貴様〜朝から俺にオカンをやらせる気か!
「ほらほら旦那様、お庭のお店で作りましょう、取り敢えず朝の分は倉庫から作り置きを出して朝食にしましょうか! メイド一同旦那様のお手伝いをします」
「「「「「おはようございます、今日も一日頑張ってお手伝いします」」」」」
侍女長さん貴女まで旦那様呼びかよ、普通はご主人様だろうメイド関係者なんだから!
でもカオリに食事と着替えを持って行くのに、店に行けるのはラッキー!
そして店に行って扉を開けると、メイド達は背後について来てズカズカと入って行く。
その後、店の前のテーブルには、パンとアップルジュースとオレンジジュースが並ぶ。
「これが、柔らかいパンですか?」
「そうよ、味と硬さを確認してみて、私達が言った事が嘘で無いと解るからね」
王女がアンパンを総料理長に手渡し、それを一口食べる総料理長。
「・・・美味しい、甘い、柔らかい、何なんですかこれは!」
「ほら現実にあったでしょう、これを貴女が再現して柔らかいパンが食卓に出せる様頑張るのよ」
残ったパンをガン見して俺を見る総料理長。
「是非弟子入りさせて下さい、馬車馬の様に働き覚えますので!」
前にもあったよね、弟子入りが! そして俺は若いメイド達を見る。
「どうしました、私達の朝の魅力に気付きました!」
イヤイヤ若いのに髪はボサボサ、睡眠不足でクマが目元にある女の子に魅力は無い。
「いや君達が教えてやってくれる、よろしく!」
「待ってください、私達はこの後交代で休息睡眠を取る予定です」
「そうですよ、一晩中お呼び待ちでみんな起きていたんですから」
「「「そうよそうよこれから休憩です」」」
俺の提案に、睡眠の為にモーレツ抗議のメイド達!
そんな時は、王女様を見る。
「お前達、何時も20歳以上はおばさんと散々年上を馬鹿にしているんだ、一晩の徹夜くらい大丈夫であろう! 総料理長に酵母の作り方を教えてやれ!
取り敢えずは旦那様のドライイーストで、パンを作る工程を教える事も忘れるな!これで良い旦那様」
その言葉を聞いた若い5人組のメイドは、空を仰ぐ。
寝不足の目に朝日を浴びた黄色の空はさぞ美しいだろう!
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