第76話 年上の妹!

目の前の女性は、この異世界に転生して来た妹と確認した。


「立ち話もあれだから、こっちで話をしよう、飲み物でも出すよ」

俺は、2人を店の外テーブルに誘う。


「なら貴方達警戒してなさい、盗賊は来なくても魔物の類は来ますからね」

カオリが指示すると、店のまわりを騎士達が取り囲む。


「カオリ、この周りは「貴方カオリってなんですか! ユルエヌ大公様とお祖母様を呼びなさい!」

俺に、ビシッと指を刺して来たよこの女性。


「良いのよラシーヌちゃん、こんな姿だけど兄妹なのよ、昔の姿で会えないのは寂しいけど、仕方ない事と思って頂戴」

「分かりました、お祖母様に従います」

タカピーの癖に素直だねお孫さん。


「それで周りがどうしたの?」

「余り大きな声では言えないけど、此処の水は全て魔力水なんだ!

外水道の水を撒くと、魔物が近づいて来ないんだよ」


妹大公は驚いている、そんな事は無いだろうと。

「何を馬鹿な事を言っているのかな、この世界に来て頭がおかしくなるのが進化した?」

全く失礼なおばさんだ、妹でなければ一品サービスを減らす所だ!


「お兄ちゃんを疑っても仕方ないけど、誰か鑑定して下さい!」

カオリが言うとお嬢様が言ってくる。


「私も出来ますけど、執事のラインコールの方が鑑定力は上よ」

お嬢さんが、執事さんを呼んでいるので。


「ならば、水を汲んでくるから鑑定をしてもらって」

俺は外水道から、バケツで水を汲んでくる。


「ハイ鑑定して下さい」

俺がバケツを差し出すと、執事さんは目を見開いて覗き込む。


「どうラインコール、魔力水だった! 馬鹿な事とは思って居るけどね、一応は答えを頂戴」

妹の言葉を聞いても、言葉を発しないラインコール。


「どうしたの、鑑定結果を聞かせてね」

「そうよラインコール、お祖母様にお知らせなさい」


お嬢さんの声に、我に帰った執事さんは妹に答える。


「大公様、これは中々の物です、成分を分析して研究すれば凄い薬も魔道具も出来ます、王都の研究者達でさえ出来ない魔力水です」

2人が、執事の言葉に驚愕して居る、そんなに凄い物なのか?


「それでお兄ちゃんはこの魔力水で魔物が近づかないと言うの?」

「あゝ、他所の国で・・・(精霊の事は黙っておこう)、初めて此処に来た国な、そこの鑑定士に見てもらったら、地面に巻いたら魔力が飛んで、魔物達にしてみれば大きな魔物か得体の知れない物に見えるんだってさ! 余り広範囲に撒くと逆に高位の魔物が、戦いに挑戦してくるみたいだよ」


「最初の国って何処なの?」

「スベリエ王国だったかな、この後は逃亡してこの国に来て、ルモンデて街に何日かいたけど、そこも揉めて此処にいるんだ」


俺が言い終わると、カオリは考えている。

「まずスベリエ王国では何で逃亡したの?」

「まあ能力だけれども、それを勘違いした人が、俺を出ていけと言ったので出たんだ」


「ルモンデの街は?」

「そこも俺の能力が関係してくるね、実際見せようか!」


「見せてもらえるの?」

「腹が減っているなら見せられるけど夕飯は食べた?」

俺の質問に妹は答える。


「まだよ、帰ったら食べる予定だからね」

「なら、持ってくるよ、酒は飲める?」

「この世界のエールは嫌ね、緩くて!ワインも質が悪いしね」

やっぱり酒は美味しくないんだ!


「此処の店のは日本のだ、日本酒もあるぞ!」

「まさかあの時の店が有るけど、日本の物が有るの?」

「店ごと来たからな、全部日本の物だよ」


妹は目を輝き出して俺を見ている。










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