第70話 領主代行!

目の前の酔い潰れた2人を置いて、俺は酒を片付ける。

そして残ったビールを飲んで一休み。


周りを見ていると、コチラに視線を送ってくるのは門番達。

「仕方ない、救助要請をするか」


俺は歩いて門に行き、門番さんに話したら何人か人を派遣してくれた。

コチラにくる時に練習用の槍を、4本一緒に持ってきて来れと伝えた。


少しして、槍を持った騎士さんが何人かやってくる。

「冒険者ギルマスとサブマスの回収に来ました、槍はどうするんですか?」

1人の騎士さんが言ってきてので、俺は受け取り、バスタオルで担架を作る。

「はい、頭と首を気をつけて、2人をこの上に乗せたら、四方に1人ずつ付いてください」


八人が散らばり担架の四隅を持つ。

「それじゃあ、セーノ立ってください」

2人を持ち上げる8人。


「あれー楽に上がる」

「担ぐより楽だな」

「背負うよりもな!」

「この方法は簡単に出来るな、ベットのシーツでも出来そうだ」

口々に感想を言って、門から街の中に戻って行く。


「さてまた逃亡か、この大陸はどれほど大きいのか分からないけどな!」

俺は夜になると冒険者が集まり逃げられないので、このお昼からの誰も来ない時間に出発する事にする。


「そして全て、仕舞ったな、まだママチャリだけれど頑張って走ろう」

昼間にも関わらず、俺は逃亡を始める。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「お父様、何故税を外のお店にかけるんですか」

領主の執務室に入ってくるお嬢様、その裏には商業ギルドマスターさん。


突然の娘の訪問に領主代行は席を立つ。

「おお娘や何を言っておる、そんな事は何もしてないぞ」

「嘘をつかないで下さい、此処に一緒に来た商業ギルドマスターが証人です」

お嬢様の裏から商業ギルドマスターが出てくる。


「全く、若い子は良いわね、私はついて行くだけでやっとよ」

「貴様、何故会議の事を娘に教えるんだ!」

領主の怒りは商業ギルドマスターに向く。


「アンタの娘も分かっているんだよ、そんな馬鹿な話はね、もし伯爵の耳に入ったら、アンタの行いをどう見るかね!」


商業ギルマスが言いたい事は!

守らなくても良い者を守って、本来守る者を助けなければ上の者として示しがつかない。

もし税を課すならマサシを守らなくてはいけなくなる!


そして守った事で誰かが怪我をすれば領主代行の責任に、本来外壁の外は守らなくても良い場所だからだ!


そして外の者を守った事により、責任が発生した時には賄賂を疑われる事になる。

戦争は稀に起こるが、外壁の外は魔物や盗賊の巣である。


そこを間違えた瞬間に、代行の職は解かれてしまう。

その事を代行の娘はよく知っていた。


「パンを貰う事でも賄賂は賄賂です!」

「違うぞ娘、少し多く回してもらうだけだ」

「ですからそれも賄賂なんですよお父様、融通を通してもらう見返りが、税と言うお金ですからね」

「イヤ貰うつもりは無いんだ、少しパンを多く売ってもらいたいだけだ」

説明のつかない事を言っている代行、自覚が無い。


「なら税を免除するんですね」

「そうだ、税金は要らない」

「その入らない税は誰が払うんです」

「だからもらわん、取引だ」

「なら領主権限で、脅迫するんですか?」

「イヤ取引「領主代行もう見苦しいからおやめなさいよ、それ以上貴方の意見を通すなら、伯爵にご意見を上げますよ、他のギルドと組んでね」


伯爵領のルールで代行の不正は2つ以上のギルドの訴えで通る事になっている。


代行は商業ギルドマスターを睨む。

「他はどのギルドが税に反対なんだ?」

「全部さ!」

「はー?」

事が分からず惚ける代行。


「代行以外の街の重鎮は今回の事は反対している、分からないのはアンタだけさ」

商業ギルマスの言葉を聞いて、静かに椅子に座る代行。


「分かった降参だ、夜は食事会に変更しよう」


代行が折れたことで、今回の騒動は終わると思われたが、外で起こった事をこの3人は知らない!











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