第63話 一晩で噂は流れる!

翌日は朝起きると、何故か人だかりが出来ている?


「皆さん何かご用ですか?」

「美味しいパンを売って欲しい」

「私も、これからダンジョン行くけど、その前に売ってください」

「俺もお願いする、高いのは仕方ない!もし死んで食べられないと心残りだ」

並んでいたのは冒険者達、騎士さん達に聞いて門を出たら此処で待っていたらしい。


「では一つ銀貨一枚です、この袋は回収しますので、持ってきてくださいね。

その時に銅貨1枚を返します」

「袋が要らなければ銅貨9枚かな?」

「ええいいですよ、その方はお申し出下さい」


それでもパンは銅貨1枚の値段で街中で売っている、味と柔らかさは負けないけど値段は負けている、パン屋さんに恨まれてもいけないし、第一大量には作る事が出来ないからね。


そして冒険者の列を捌くと今度は執事さんやメイドさんの列が出来ている。

「こちらが昨晩騎士団に夜食を届けたお店ですね、美味しいと評判です」

「私は10個ずつお願いします」

「すいません3個お願いします、ジャムパンを」


こちらは大量買いがチラホラいる、余り売れすぎると個数制限をすると伝えといた。

いざとなれば食パンの大量生産でどうにかしよう。


やっと列が途切れて俺は朝食を取る。


「営業時間を告知しないとダメだな、それにオーブンも家庭用だしそんなには大量に出来ない」


ひとまずは朝の景色を堪能して、サンドイッチを食す。


人の流れが少しずつ動いて、俺の店を見ていく人が通り過ぎる。


「よし営業時間を決めよう」

飲食は朝は7時〜9時、昼は12時〜14時、夜は酒の販売を含めて18時〜20時1日6時間とする。

それと並行して乾物屋は朝9時から夕方16時までだな。


それで当分は様子を見ようと、前に作って貰ったA型看板に文字を書き込む。

文字をメリーナに教わっておいて良かったよ。


そして昼には、ウドンをメニューに書いておいて他の物は売らない、パンも買いにくる執事さんやメイドさんもいたけれど朝だけ販売としておいた。


夕方になりカーテンを引いて乾物屋は店仕舞い、そして飲食店を開く。

メニューは蕎麦にウドン、そしてビールとツマミを色々と作っておく。

門にあぶれた冒険者さん達が笑笑わらわらと集まってくる。


「高いけどビールとか言う物をくれ」

「美味しくても1人2本までですよ、悪酔いした人は出て貰って出禁ですからね」

「それと日替わりのおつまみをくれよ」

「今日はイカの炙りと焼き鳥です」

スルメを醤油と味醂を混ぜた汁につけて炙ったものと、鶏肉を焼いて塩を振った物、串は無しだ。


出してビールを飲むと大抵一気に飲み干す、そしてイカ焼きや焼き鳥を食べると言葉が止まる。

その後は、美味いの連呼、ただお代わりはあくまでもビールは2本目までで、おつまみは瓶一本に付きイカの炙りと焼き鳥のどちらか一つだ。


「美味しかった、テントで寝るよご馳走様」

「また明日稼がないとな」

「そうだよ、このエールの美味しさを知ったらギルドの酒は飲めないね」

「本当本当」

「あれはただの変な水だな」

「早々酒では無いな」

「よしギルドで飲むのをやめて、稼いだら此処で飲もう」

「ギルドの酒を10杯飲むなら此処の一本の方がいいはずだ」

口々に俺の酒を褒めて、冒険者達はテントに入っていく。


ただ俺の店の横とか後ろにテントを立てるのはやめてくれ!


入れないと分かっていても、勝手口を警戒してしまう。


それに倉庫に品物を移すから邪魔だよ!













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