第48話 魔力水、魔法粉、ダンジョン!

俺はまたもや隣の食堂に顔を出す。近いけど結構しんどい。


みんな試食のバターを食べ終わり、若干ウットリとしている。


俺は蓋の有る瓶をみんなに見せる。

「これですよこれ! これでなら割と直ぐに出来ます(まあ15分くらいかな)では調理場に行きましょう」


皆んなを連れて調理場に移動。


そして器に全粉乳を水で溶かして、瓶を交代交代で泡立てると、少しずつ固形の物が見えてくる。


「何ですかコレは魔法の粉?魔法水と言いマサシ様は自重を願います!」

メリーナは言葉では怒っているけど、口元は笑っている。


「凄い、確かに匂いは牛乳、でも出来たのはバター、コレが牛を飼っている貴族が隠している秘伝なのか」

「そうですね、現地に行かないと食べれない、冬なら国中でどうにか食べられるバターをこの山の上で食べられるなんて!」

作っている料理長とセトさんが、ミルミルとバターになっていく液体を見ている。


「そろそろ頃合いですね、では器を貸してください」

残った脱脂粉乳とバターを分けて、脱脂粉乳はみんなで少しずつ味見。


俺は水洗いで残った牛乳を洗い流していく。

「この牛乳も美味しいわね」

「そうですねお嬢様」

「暑い時には良いかもしれない」

「当日飲むなら氷魔法で冷やすと美味しいですよ」

そんな事を言ってしまった俺をみんなが見ている。


「やはりマサシ様の所で製造しなくてはダメですね」

「そのとおりですお嬢様」

「俺も此処を辞めてもう一度マサシさんに弟子入りしようかな?」

確かにセトさんが帰ってくれば俺は楽になるけど、毎日新作を求められても俺にも限界がある。


俺は単なる乾物屋だ! 時々峠のお茶屋さんだけど。


そしてバターの味見をして、俺の家から氷を持ってきて冷やしておく。

今晩の特別メニューになる。


そしてメリーナとメロウを交えて、食堂で話し合い。

まずメリーナの言う事を俺がメロウに伝えてその返答を俺がメリーナに伝える。海外の通訳だ。


面倒臭くなって疲れたと言うと、メロウは実体を晒してメリーナと話し始める、最初からそうしろよ2人とも!


「確認よメロウちゃん、この魔力水はマサシ様の家の水道から全て出ているの?」

「はいそうです、主人の家の台所もお風呂も、トイレも全ての水は魔法水です」

メロウが言う度にメリーナは頷いている、それにしてもトイレの水も魔力水なんだね!


「それを道に撒くと小型の魔物は寄ってこないのね?」

「ええよほど、挑戦者でなければ驚いて逃げ出します、コレ程広範囲に撒けばかなり大きい魔物に感じられますのでね!」


「でも撒きすぎると、大型の魔物が来るのね?」

「はい好奇心の塊の彼らは、確実に来ますね」


「マサシ様の家だけなら来なかったのかな?」

「う〜んどうだったでしょう、分かりません、ただ此処はマサシ様のお店の裏にある山の上のダンジョンから出てきた魔物の通り道ですから、自然と通り抜けする魔物は出てきますね」


「待ってよ、あの裏山にダンジョンが有るの?」

「はいかなり深いダンジョンですね、私は少し潜って来ましたけど、10階を超しそうなので戻って来ました」

頭を抱えるメリーナ。今度は俺がメロウに質問。


「メロウ聞くけど、何時もいなかった時ってダンジョンに行っていたの?」

「はい時々ですけどね、ダンジョンに初めて潜って地上に出てきたら、違う魔力を感じました。

そしてこの間、主人のいる此処にきましたよ! 更に新たなダンジョンがまた生まれたと思ってね、でも違いましたね」


時間工程がよく分からないけど、きっとダンジョンの魔力を感じてこの辺に来て、俺の店の魔力を感じたんだろうな。



「ふー、どう報告すれば良いのですかねマサシ様、魔力水に魔力粉!

そして極め付けは新たなダンジョンなんてお父様にどう説明を!

それにお父様もどの様に王様に報告するのかしらね、認証した宿の裏山にダンジョンが有るなんてね」


そう言い残して、メリーナは2階に上がっていく。


3段上がるたびに俺を見る為に振り返る、ご愁傷様ですメリーナさん。


翌日には2頭の早馬が、領地と王都に向かって坂を下っていく。










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