第47話 ハンド泡立て器、ミキサーは内緒!
隣に行ってメイドさんにメリーナを呼んできてもらう、その時に料理長とセトさんに会う。
「マサシ様、今日も特別メニューは有りませんよ、そろそろ新作を・・・」
「どうしました料理長」
言葉の止まった料理長に、セトさんは声を掛ける。
「セトくんマサシ様の右手を見てみろ、何か輝いているガラス容器の中だ!」
俺の手元の瓶を指指す料理長!
「ええと、黄色に輝いてますね!何かの材料ですか?」
「セトくんは知らんのか各地を歩いて見て会った事がないのか? あれは恐らくバターだよ!」
料理長に言われて、改めて俺の手元の瓶を見るセトさん。
「言われてみれば、私も2度ほど見た事がありますよ、ただその時は田舎の牛が多くいる所でしたよ」
セトさんは、俺の瓶を見ながら過去を思い出したみたいだ。
「この国ならヘルボリ侯爵領かオレル伯爵領しか牛はいない、それも両方とも此処よりも遠くて、此処に届くまでに夏ならば確実に腐る、冬ならどうにかなるけど今の季節だ!ふーむ!」
料理長が今言った事が本当なら、牛は居て牛乳もあるようだ! ただ流通の都合で此処には来ないようだな。
「マサシ様、それはバターで間違いありませんか?」
料理長が聞いて来たので、俺は頷く。
「すいませんが、味見をさせていただけますか?もちろん此処までの運送賃も込みで、対価をお支払いしますのでお願い出来ますか?」
「全部はダメですよ、メリーナさんにも味見をさせるんでね」
楊枝に少しつけて、2人に渡す。
「「美味い」」
2人の声が揃う。
「良かったです、料理長とセトさんに美味いと言われて作った甲斐が有ります」
俺がニコニコしていると、背後から声がする。
「マサシ様、お忙しい所来てくださりありがとうございます、メロウちゃんはいましたか?料理長達も毎日ご苦労様」
すると料理長が、俺が持つ瓶を腕ごとメリーナに見せる。
「見て下さいお嬢様、この地でコレがある事を!」
何のことかと、俺の手の中の瓶を見る。
「なぜコレが此処にあるんです、マサシ様今度はどちらから出て来たんですか?まだ魔力水の話も終わる前に次から次と、問題を提起しないで下さい! それで味はどうなんですか少し下さい」
新しい発見に抗議しても、結局は味見をするメリーナ。
「あら美味しい、コレは定期的に手に入るものですか?」
俺は考えて答える。
「凄い重労働なので、自分の食べる分しか出来ませんよ、作るなら・・・あれー確かあれがあったはずだ」
思い立ったが吉日、俺は店に戻る。
台所の道具入れの扉を開けて電動ハンドミキサーを取り出す。
お好み焼きを混ぜるのに買ったけど威力がありすぎて具材が飛び散るので
最初の生地を混ぜる時以外使用しなくなり、手で混ぜる泡立て器を本来は使用していた。いつの間にやら忘れ去られた道具だ。
コレなら恐らくは疲れないで混ぜられるけど、どの位飛び散るのか分からない、そして電気の問題もあるので、此処はただの泡立て器と、全粉乳の粉を持って再度お隣の食堂にいく!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます