第41話 金時!

お客さんもお茶を飲みながら、俺に話しかけてくる。


「店主さん、このお茶は美味しいけど卸していないの?」

「はい、此処の山の上限定です!お隣の食堂で少しお高いですけど特別な容器に入れた物を販売しておりますが、容器の返却をお願いしています。

身分証の提示もお願いしてますね、この道を何度も通るならお隣でご購入してみたら良いと思いますね」


「やはり一見さんなら、売ってもらえないのね、たまにしか此処を使わないから諦めるしかないわね、ご馳走様でした」

お客さんはお茶を飲んでまた山を下っていく。


「かなりお茶のペットボトルも生産してきたけど、ペットボトルは流石にこの世界に置いておく事は出来ないよね、洗髪料のペットボトルも要回収をお願いしている。その後はゴミ箱に入れて亜空間に消えていっている。


「生ごみ以外のこの世界に無いものは全てゴミ箱で処分だね」

そしてお昼を回り、段々と暑く成ると隣からお嬢様がやって来る。


「あらマサシ様、コチラでも募集看板を出したのですか?」

「はいなるべく早く、従業員を確保したくて出して見ました」

「なら私を雇いなさいよ、今なら頑張って24時間お側に居ますわよ!」

それはそれで、隣の宿がこまるだろうに。


「24時間は要りませんよ、精々昼間の5・6時間ですよ」

「チィ、あゝそれとあの新作のメニューはなんなんですか?」

舌打ちしたよ、それで話を誤魔化す為に質問ね。


「氷を砕いた物です、温まった体を冷やして貰おうとね」

「氷を砕く?どの様なものなんです一杯注文します」

「銀貨2枚ですけど、特別に試食で出しますので食べてください、どちらの味にします」

俺はメニューを指差してお嬢様に聞く。


「どちらも聞いたことが無いものですね、金時と宇治金時ですか?」

「お嬢様には教えますよ、フルーツ缶の汁を固めた物と、お茶を固めた物、それを氷にして細かく砕いた物です、上に餡子が少し掛かっていますよ」

俺の説明に、お嬢様は両方を頼んで来るけどお腹を壊すといけないので、どちらか一つにしてもらう。

すると、背後からスージーさんが来て、2人で2つと言うことになった。

メイドとしてはお嬢様の残りを頂く事で、かき氷を食べられると喜んでいた。

他のメイドも一口食べさせて貰って喜んでいる。


「凄く美味しいです、ただ慌てて食べると頭が痛くなりますね」

「それは冷たさを頭が痛みと勘違いしているんですよ、それよりも食べ過ぎてお腹が痛くなる方が女性として困るはずです、お代わりはやめましょうね」

宿のトイレはなんと水洗にした、バケツで水を流すだけだけどね、その排水は俺の家の下水と繋いだ、見事に亜空間行きである。


「マサシ様の言っている女性の困る事は分かりませんが、ご馳走様でした。

夜のディナーは予約は有りませんので、本日は調理場にお越し下されなくても大丈夫です」

宿には偶に泊まるお客さんは最初の頃は俺の特別な料理を食べていたが、料理人達の腕が上がって、俺の料理は特別な食べ物から、料理人達でも出来るスペシャル料理と名前が変わった。


俺の作る、特別な料理は俺の店限定、夜食べたければ特別な料理として注文は受ける。

そして告知は俺の店で先にするので、コチラに寄らないと新作の特別な料理は気づかれず、幻の料理となる事に!


「コレは残っても、夜では寒そうですね」

「氷ですので明日でも大丈夫ですよ、暑かったらまた来てください、銀貨2枚ですけどね」


「アイスクリームは作らないのですか、夜ならアレでも食べられますのに」

「あれは、手でかき混ぜるのが大変なので、暇で体力がある時だけです」

「料理人を派遣しますけどね!」

アイスクリームも卵を使う、あれは日に10個しか出来ないので他の料理に使ううちは無理だね。


「お嬢様、卵の生産が間に合わないのでやはり無理でしょう、食堂に卵料理を出さないなら考えますけどね」

「そ、それはダメです、私は1日一回は卵料理が無ければいけない体になってしまったんです、それを諦めるなどと・・・」


「ならば、卵を産む鳥を見つけてください、空では無くて地上でね」

コチラの異世界でも鶏がいるなら、木の上では無くて下だよね。


まだ見ぬ鶏に思いを寄せる!




 

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