第19話 異世界開店1日目!

そしてお嬢様の話は続く。


「次に、食材なども沢山の在庫が有っても買い尽くされれば無くなりますから、よく考えて価格設定して、下ろす個数なども制限して下さいね!特に酒類は貴重です。

それに此処は、海の食べ物も有りますからね!」


みんな酒関係は要制限なのかな?

「此処って海の物も流通してますよね、海風が来るくらい近いんでしょう?」


「鮮度が違うんです、生臭く無く食べられる魚など海の物は有りませんよ!」

メリーナに呆れた顔をされる、ヤレヤレという感じ。


まあ煮干しにしてもよく嗅がなければ、生臭く無いな。

「なら乾物の商品の値段は、どの様にするんだ?」


「恐らくはマサシ様の国の10倍の値段設定をして下さいね、それでも売れるなら更に値上げして下さい、本当は全て王都のオークションで売り払いたい物ばかりですよ!」

オークションは有るんだ、でもそれだと在庫が増えるんだけどね。


「ある程度売らないと、生活出来ないのですがお嬢様」

またお嬢様は呆れた顔で俺に言う。


「美味しい食べ物を食べて、美味しいお酒を飲んで、それにいつでも入れるお風呂があるんですよね、後何が必要ですか・・・分かりましたマサシ様も男ですから女性ですね!それなら私がお相手します、足らないならメイドなり臣下の者も差し出します、何人お相手しましょうか!」


何でメリーナ自分で言っておいて怒っているの、俺には分からん?

「とにかくは、上手く店を回すよ、お嬢様に言われた最低限のルールも守る事を誓うね」


「分かりました、とりあえず王都からお母様が来ますので、それまでは試験営業ですからね、では隣に行きますので、何かあれば騎士たちに事付け下さい、それでは夕飯に会いましょう」

お嬢様は出て行く、俺は残ってこれからの事を少し考えるけど、面倒なのでギフト商品は、奥に隠して通常の商品だけ販売する事にした。


騎士さんに、値段を口頭で言ってメモ用紙に数字を書いてもらい、それをギフトの空き箱を切って書込み値札とした。

そして椅子を出して外で店番、何人かが通り過ぎて行く。


大きな荷物を持ったり、剣を腰とか背中に掲げて歩いている。

中には頭に耳のある獣人もいたりする、改めて異世界に来たと実感する俺だ。


荷物を持って歩く男と目が合う、会釈すると男はこちらに近づいてくる。

騎士さんの1人が俺の側に寄ってきて護衛の構え。


「もしもし聞くがこの店は何を売っているんだい、2日前に通ったが遠くから見て通り過ぎた、良ければ何を売っているのかを教えてくれ」

男の人が声をかけてきたので俺は答える。


「此処は乾物のお店です、乾燥させて水分を抜いて長期間保存出来て、食する物を売っています。水や湯で戻して食する食材を売っていますので見て下さいね」

俺が言うと、店の敷居から中を除いて男の人は見ている。


「もし質問があればお答えしますけどね」

俺は最初のお客さんだと思いニコニコ顔で対応する。


「結構な金額だね、それでこのキノコはどうやって使うんです?」

男の人が指を刺したのは干し椎茸、乾物の定番だ。


「これは、水で1日時間を掛ければ美味しくなります、そして戻し汁も、うわゴミを取り除いて料理に下味として使えますし、塩を少々入れてキノコスープにもなりますね」

男の人はじっくりと商品を見ている。


「大銀貨5枚か少し高すぎるな、確かに戻し汁も使えても採算が取れるか分からんな」

高いのか、でも駆け引きかもしれない。


「このまま、日に当てずお持ちくだされば半年以上持ちますし、封を開けても、20日から1ヶ月近く持つので長期間の旅行にも大変優れた物ですのでぜひお買い頂きお試し下さい」


男の人は考えて買わない事になった、頭を下げて峠の先に消えて行く。


異世界販売第一号は逃したか仕方ないな!また誰か来るかもしれないしな。


そして夕方にお嬢様が1号として俺の飯を食べに来た。

何時ものメンバーだが仕方が無い、喜んで作ろう。













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