第9話 うどんはウドゥンの名産!
暫く考えて、俺は答える。
「やはり店が心配なので、此処からは離れられません! 折角お言葉を貰いましたが辞退いたします」
夫人に向かって俺なりに丁重に断った。
やはり無理だと思ったかも知れないが、夫人は作り笑顔で返答してくれる。
「分かりましたよ、確かにまだ会って2日では、信頼が得られないのは仕方のない事ね、ならば約束をして下さい。
もし誰かが貴方を臣下にしようと接触して来たならば、当家が最初の交渉権を持つ事をお願いできるかしら?」
最初の交渉権て、単なる乾物屋と何を交渉するんだろ〜?
「良いですよ、何が合っても伯爵家にまず相談しますから、よろしくお願いしますウドゥン伯爵夫人」
俺は軽く頭を下げる、それを見た夫人は満足そうに頷いた。
「では交渉は終わります、体を綺麗にする液体と洋服の代金をお支払いしますね」
執事長さんから、また小袋を5つ程頂いた。
「これは金額に色を付けてますけど、商品を売る価格は貴方の方で決めてください、これは最初に食べさせて貰い綺麗にさせて貰ったお礼です。
それと改めてウドンのレシピの買取り価格を決めましょう、いくらでお譲り頂けますか?」
何故夫人はウドンにこだわるんだ?
「何故って顔をしていますね、それはこのウドンの名前ですよ、当家とは一字しか違いがありませんもん、それならば当家の秘伝の食べ物として他の領地に紹介が出来ますもんね」
あゝ確かに小文字のゥが一文字入っているだけだ、それよりもこれって不敬になるのかな、日本人としては譲れない一線だけれども?
「良いですよ、ただスープは色んな味が有りますので麺の事をウドンと言うことにしましょう」
俺は素麺や冷麦、蕎麦にパスタ等の乾麺をテーブルに並べて説明をする。
太さや、小麦の原料の違いを説明した。
「これ程の麺が有るのですね、本当に食生活が変わるかも知れません」
「お母様、これを全て食べてみたいです、マサシ様全て作る事は出来ますの?」
お嬢様に言われたけど、素人料理で良ければ作れるけど、全部は食べられんだろう?
「あの〜結構な量になりますよ、お腹の方は大丈夫ですか?」
お嬢様は恥ずかしそうに返答する。
「そっそうですね、確かに全ては食べられませんね!お母様どうしましょう?」
夫人も流石に突然に話を振られても答えようが無い、そんな時の執事長さんだ!
「奥様、お嬢様私の方から提案がありますがどうでしょう」
「ウルメグが解決する案が有るのなら聞きますよ」
執事長は夫人から許可を貰って俺に話しかけてくる。
「マサシ様はこの地を離れたくないので有れば、我が領の料理人を派遣して、隣に店でも出させましょう!幸い少し先に湧水も有りますし料理には最適な環境共言えますね」
俺を見ながら執事長は言ってくる、反対は出来ないのね。
「分かりました、なら隣に建物を建てて下さい。それから教える事は出来るし、材料も少量なら私の方で用意できますからね」
こうして交渉は纏まった。
隣が整うまでは、俺の家の警備として騎士を何人か置いて行って入れること、此処の場所はハムスタッド公爵を通して王家にウドゥン伯爵家の飛地として登録をすると言ってもらう様になった。
その際の税は隣に作る建物の上がりから五割を徴収して、公爵に1割伯爵に3割、お隣のヨーテポリ伯爵に1割を払う事で王家に報告する事になった。
ただこれには税が高いと思ったけれど、俺の店で下ろす商品を隣の店には高額にしておけば、利益は少ないので税も少なくて済むと言ってきた。
将来は、この山裾からこの地を通って下の山裾までを別領として開発をしたら良いとも言われた。
此処に来て2日目で俺の将来が大分決まったのかも知れない。
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