第3話 瓶詰め!

挨拶をし終わった後、みんな俺の家を見ている。


「あのー、この家を見てもよろしいでしょうか?」

夫人が声をかけて来たので、俺は頷いて先頭で店の中に行く。

後には執事さんと騎士さんが2人、その後に婦人と娘さんが入ってくる。


「狭いので、気をつけてください、瓶などは割れますからね」

皆んな見ていたが、奥の部屋がある事に気付いた様だ。


「こちらの部屋は食堂ですか? もしかして此処で食べ物屋さんでも始めるんですかね?」

中はテーブルが4つあるのでそれを見たお嬢さんが聞いて来たので、俺はどう答えるか迷ったけど、素直に答える。


「お好み焼きを作って食べれる所です、上がるなら靴はお脱ぎ下さい」

執事と騎士は困った顔をしていたが、婦人は気にしない様に靴を脱いで、上に上がって来た。そしてお嬢さんも上に上がる。


「この床は変わってますね、ゴザよりも目が細かく、足にはつきませんね」

「どうすれば良いのですか?」

夫人が聞いて来たので、俺は座り方を教える。


「此処に座ると、下が掘り炬燵になってますので足が楽になります、お尻の下には座布団を敷いて座って下さい」

俺は隣のテーブルで座るポーズを見せると2人は真似て座ってくれる。


俺は座ったのを確認すると、奥の冷蔵庫から瓶ジュースを持ってきて2人に渡す。

2人は繁々と、ジュースの入った瓶を見ている?そうかコップを持って来ないと。


俺は奥の台所に行って、コップを持って来る、そして栓を開けてコップに注いであげると、執事さんより待ったがかかる。


「お待ち下さい奥様、毒味が必要です、おい!」

後ろからメイドさんがきて、各コップを少し飲んで手が止まる。


「どうした毒か?」

後ろで騎士さんが、剣を抜く音がする。


「凄く新鮮なアップルジュースです、甘くて美味しいです」

残念そうにコップを置くメイドさん、やはりりんごジュースは美味しいのか!


「なら飲んでみましょう、メリーナちゃん飲みましょう」

2人は、少し飲むと残りは一気に飲み干し、瓶に残った物も飲みきった。

背後のメイドさんは残念そうだ、そして騎士さんも剣をしまった。


「美味しかったです」

「本当に、果実を食べた感じよね! 馬車を止めてよかったわよ!」

2人はニコニコしている、そして夫人が話して来る。


「では聞きますが、此処にはどの様にして来ましたか?」


「先程も言いましたけど分からないんです、此処が何処かも併せてです」

「本当に困りましたわね、ならば執事長! 騎士2人とメイドを一名此処に置いて行きましょう、下の街に着いたら旦那様に報告して下さい、明日改めて此処に調査に来ますからよろしくね」


夫人はそう言い残して外に出る、お嬢さんは出る時に瓶詰めのミカンを見つけて俺に話しかけて来る。


「こちらの品はオレンジの瓶詰めですか? 腐りませんか?」

俺は手に取り、賞味期限を見る。


「恐らくは大丈夫ですけど、開けた時に食べてしまえばよろしいかと、後その液も飲めますので美味しいですよ」


俺がそう言うと夫人も執事長も見入っている。


「今の季節にオレンジの水付けですか珍しいですね」

「ええ、この季節には中々無いですよ奥様」

じっくりと見ているお二人さん、俺は奥からフォークと小皿を持ってきて蓋を開ける。

小皿に何粒かを出して、またメイドさんに毒味をさせてあげる。

食べたメイドさんが、また硬直すると騎士さんが剣を抜く。


「お、美味しい、それに甘いです」

ならばと、2人がフォークを指して味見を始める。


「美味しい」

「甘いわよ、何で?」

2人は食べ終わり、残った汁を見ている。

俺はまた奥から、コップを持ってきて、中身を分けてあげる。


「これも美味しくて甘いです、お母様」

「ええ本当ね、もう一つ買っていこうかしら、これはいくらですか?」

 

俺は困った、だって今いる所の金額が分からない、どおする?

「そちらで決めて下さい、言い値でよろしいですので!」


「なら、執事長払っておいて下さい、では帰りますよ」

夫人は先に行くが、お嬢さんは後ろ髪を引かれる様で、中々歩かない。

最後はメイドさんに連れて行かれた。


「ではこれが代金です」

俺は執事長さんから小袋を貰った。


馬車は騎士さん2人とメイドさん1人を残して帰って行った。









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