【短歌二十首連作】アニマルズ

外村ぽこ

アニマルズ

シマウマが息絶えるたび健全な虹にまみれるサバンナだろう


庭に二羽ニワトリがいて鳴き声の大きい方を食用とする


ぴょこんって車を避けるでぶカラス良い意味で世界を舐めている


移行前カメラロールを寂しさで死んだウサギの名前で撫でる


夕焼けがすべてを赤く染めるとき自分の色になるカメレオン


シロクマを夏の京都で見てみたいきっと似合わなすぎて泣いちゃう


ひっそりと神さまになりたい夜に羊毛フェルトでヒツジを作る


尻尾のないリスがいますね後悔のない選択ってありましたか?


オオカミの名残が見える歯並びの悪いあの子の矯正器具に


垂乳根のホルスタインに価値はなくそんなことないよ待ちの女子会


夢喰いのバクがまさかの偏食で苦しい夢ばかり覚えてる


雷鳴の響く荒野でキリンとは同じ目線で眠りあいたい


ふわふわのアザラシずっと欲望に忠実なまま生きてしまえよ


アスファルトジャングルにいていつまでもカエルが鳴かないから帰れない


ドッグラン走らなければもうそこに埋まった骨の匂いはしない


盆の海 遊泳禁止 クラゲの胃 ぜんぶがぜんぶあの夏のまま


寝食を共にしたから(二枚貝)涙の色は透明だった


空と海どちらも似合ってしまうから陸を選んだクジラの座礁


まだ誰も見たことのない旅に出る義足のヒョウを筏に乗せて


眩しさを押しつけてくる夏なんてジンベイザメが裏返すから

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