第41話 カツアゲギルドでしょ?
収納リングからワイバーンを大量に帝都の冒険者ギルドに納品した。周囲にバレない様に受付嬢に頼んでこっそり解体場に持って行ったのだけれど、何故か周囲に知られたようで最上階にあるギルマスの部屋に呼び出された。
「あれを狩った奴らを教えろ」
「僕たちですよ」
「嘘をつくなっ!」
「なぜ嘘をつく必要が?」
「お前らみたいなガキが狩れる訳ないだろう!」
「僕は一応シルバー級なんですが・・・」
「あれはオリハルコン級以上じゃねぇと無理なんだよっ! 成竜より大きいワイバーンの群れなんて街に飛来したら大変だ! すぐに情報を知りたいから狩った奴らを教えろ」
「あれを狩ったのはオリン山ですが・・・」
「嘘をつくなっ! あんな険しい所にシルバー級程度がいける訳ないだろ!」
「3人で行って帰ってきたのですけれど・・・」
「2人はまだウッド級じゃねぇか!」
「えぇ・・・でも2人は強いですよ?」
「嘘をつくなっ!」
バーニィってこの国の皇子らしいけど、こんな事言って大丈夫なのかな?まぁ冒険者ギルドは国を跨いだ組織ではあるそうだけど、ギルマスとはいえ帝国の国民だと思うのだけど。
「お兄たん帰ろう・・・」
「バーニィ・・・ここで引き取って貰うのやめよう?」
「そうだね・・・はぁ・・・帰ろうか・・・」
「待てっ! そんな事したら冒険者ギルドのライセンスを剥奪するぞっ!」
「ちゅまんない・・・」
「冒険者ってもっと自由だと思ったよ・・・」
「不自由かけてごめんね・・・」
僕はギルドの会員証をギルマスの机に放り投げた。フローラも僕に倣って同じ様に投げたけど机を滑り過ぎて机のギルマスの足元の方に落ちていった。
「おいっ! これはなんだっ!」
「いらない・・・」
「ライセンス返します」
「僕もこれ返上するよ・・・組織も大きいと上は腐るんだね・・・」
バーニィは会員証が金属製で投げると危険だと思ったのか机に丁寧に置いた。そして僕達を部屋の外に誘導しながら出ていった。
僕たちはギルマスの部屋を出て解体所に戻ると、預けておいたワイバーンを全て収納リングに入れて冒険者ギルドを出た。
「お前ら待ちなっ!」
「その指輪を置いて行け」
「お前らみたいなガキには勿体ねぇ」
「なんだ冒険者ギルドじゃなく強盗ギルドだったのか」
「カツアゲギルドでしょ?」
「お腹しゅいた・・・」
冒険者ギルドを出てすぐに3人の男達に囲まれた。僕達が冒険者ギルドを出る時に、ギルドマスターが大声をあげていたので、僕たちが大量のワイバーンを持ち歩いている事や指輪に収納している事はギルド中に知られていた。
「痛い目見ないとわかんねぇようだな」
「俺達に逆らった報いだ」
「ただじゃおかねぇぞ!」
「テンプレだねぇ・・・」
「どこの世界でもいるんだね・・・こんなバカ・・・」
「お兄たん早く行こ・・・」
「こいつらっ!」
「下手に出れば付け上がりやがって!」
「泣いたって許してやらんからなっ!」
「はい・・・終了」
「なんでカッパー級がシルバー級に喧嘩しかけるかな・・・」
「あしょこから良い匂いしゅるよ?」
フローラはマイペースだなぁ・・・せっかくだし武器は奪っておこっと。
「お前ら何をしている!」
「殴られそうになったんで反撃しただけですが」
「ギルドの構成員に手を出してタダで済むと思ってないだろうな」
「なんだ・・・かつあげギルドの親玉もかつあげするのか・・・」
「元オリハルコン級の俺を舐めると痛い目見るぞ」
「元オリハルコン級程度に僕達が負ける訳ないだろ」
「ガキぃ・・・」
お腹が空いているフローラが段々イライラしているのが分かった。瞳孔が開いた目でカツアゲギルドのマスターをジッと見だしたからだ。
「俺を舐めた事を一生後「うるちゃい!」」
フローラの頭突きがカツアゲギルドの親玉のみぞおちに突き刺さりその場に崩れ落ちた。ミスリル製の立派な剣を腰に差していたのでそれを回収しておいた。
「元オリハルコン級だっていうのに武器はミスリルなんだね・・・」
「ミスリル製は貴族家の家宝級だよ?」
「オリハルコン製は?」
「国宝級だね」
「アダマンタイト製は?」
「伝説級だよ」
「この短剣は?」
「神話級・・・」
僕たちの収納リングの中には伝説級が25本もあるのか・・・それに不壊属性がついているという僕の大鎌と短剣、フローラの弓と細剣、バーニィの大剣は神話級と・・・。
7本もあったし良いかと思ってリーナとエバンスにも、その神話級を送ってしまったけど、随分と立派なものだったようだ。
騒ぎをききつけた衛兵がやってきたけれど、バーニィが所持している家紋の入ったミスリル製の短剣を見せて事情を話したら、驚いた顔をして引き下がった。そして倒れているカツアゲギルドの人たちを捕縛し連行していった。
「あまり目立ちたくないんだけどねぇ・・・」
「良い匂い・・・食べて良い?」
「どうぞ」
スパイスの利いたタレで焼かれた肉串は、魔物肉では無く普通の豚だったためオークには肉質で負けていたけれど、味付けと焼き加減が上手く、美味しかった。
「オーク肉で焼いたらもっと美味しいだろうなぁ・・・」
「おいおい、オーク肉なんて使ったら高くて誰も買えねぇよ」
「そうなんだ・・・じゃあこれ渡すから明日焼いておいてよ・・・10串超える分はおっちゃんの取り分で良いからさ」
僕が解体して塊肉になっているオーク肉をおっちゃんに渡した。
10kgぐらいあるから100串以上作れるだろう。
「おいおい・・・これ普通のオークじゃないだろ・・・」
「魔の森の普通のオークだよ」
「魔の森!?」
「僕は魔の森に接する村の出身なんだよ」
「なるほどな・・・それであんなに強いのか・・・」
別に魔の森の近くに住んでいたからって全員強い訳じゃないんだけどな、マリア母さんは戦闘が全然ダメダメだしな。
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