第7話

 「安藤は?何と言ったんだ?」

私はさっき言った言葉を思い出しながら言った。

「この前一緒に帰った時は、森口先生に手伝いを頼まれた時。時間が遅かったけど、先生が忙しくて送れないからと遠藤君に頼んでくれたの。昨日は、図書室で用事済ませてたら遅くなっちゃって、たまたま残ってた遠藤君が暗くて危ないからと一緒に帰ってくれた。踊り場のところで話してたのは、聞きたいことがあったから図書室で話しかけたけど、図書室はおしゃべり禁止だから場所を移動したの。というか、クラスメイトとふたりで帰ったり話したりしたら、それだけでつきあってることになるの?それって、めちゃくちゃ短絡思考だと思うんだけど……と言いました。短絡思考と言っちゃったのは軽率でした。でも、頭に来てたから」

 

 「なぜ、頭に来てたんだ?」

「だって、先生。本人たちに確認もしないで、憶測だけで言ってるんですよ?それに……」

遠藤君をフッてる件は、さすがに先生には言いづらい。

フラれた当人とつきあってるって言われた遠藤君、どんな気持ちだったんだろう?

「まあいい。じゃあ、みんなにも聞きたいんだが、もしも自分が誰かと勝手にカップルだと言われてたらどう感じる?」

 

 がやがやとみんなが話しだす。

「オレは……どうだろう?ちょっとイヤ系?」

「え~?そんなこと言われてもって感じよねぇ」

「あ~そうだなぁ」

「俺、好きな相手と噂になるんだったらアリだな」

永田君が挙手をして言った。

「あ!俺も」

「だよね。好きな人とだったら嬉しいかも」

「噂に乗じてこのままホントに~ってなるかもしれないしな」

何人かが賛同発言をする。


 「けどさぁ、そーでもない相手とだったらヤバくね?嫌いではないんだけど好きとまでは言えない奴とだったら」

「それな。なに勝手にカップリングしてんだよ?の世界だよ」

「あぁね。別にイヤじゃないんだけど……ってね」

「だね、安藤が頭に来たっての、わかる気がするゎ」

何人かがウンウンと頷いている。

 

 「ふと思ったんだけどさ、そういうのもイジメだったりセクハラみたいなものになるんじゃ?……ほら、やった側はそんなつもりなくても、された側がそう感じたらってやつ」

「そうかもなぁ。なぁ、永田。さっきの好きな相手とだったら……っていうのも、そう考えたらアブナイかもな。相手がどう思ってるかは相手にしかわからないんだから」

「え?それって相手は俺が嫌いかもってこと?うゎ……告る前に振られてるってことかよ?それって、めちゃくちゃヤバイ状況じゃん」

永田君が頭を抱えて机に突っ伏す。

その姿に教室中が笑いに包まれ、和やかな雰囲気になった……気がする。


 

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