4「召喚」
今日は、朝から気合をいれていた畑野。
朝は、早めに起きて、生きていた時にやったラジオ体操まがいをして、朝食にご飯、味噌汁、焼き魚、卵焼き、焼きのりを用意して、食し、緑茶を淹れて、ゆっくり体に流し込んだ。
歯を磨いて、身体を清めて、用意されてある服の中で、一番のお気に入りを着た。
そして、パソコンの前に来て、椅子に座る。
一息吐いて。
「さて、今日こそ、召喚してやる。覚悟しろ!秋元香苗!!」
登校する時間になり、マウスポインターで香苗を追った。
香苗は、やはり、横断歩道の攻略をしていて、赤から緑になった瞬間に走り出して渡り切った。
「そうでなくては。」
畑野は、もはや、香苗の行動を把握して、攻略方法に関心していた。
さて、学校内が勝負。
学校内は、流石に走れないと思った。
それは、学校の校門には、必ず教師がいて、あいさつをしている。
学校内は、例え、外であっても、体育や部活以外では、走ってはいけない。
「さて、ここだ。」
校門から学校へ入った所で、マウスポインターを香苗に合わせて、クリック。
すかさず、右クリックして、召喚の文字が黒になっているのを確認して、すかさず召喚の文字をクリック。
「またなの。って、今日は早い。きゃ。」
秋元香苗は、魔法陣によって召喚されてしまった。
召喚のされた様子は一瞬で、魔法陣に吸い込まれてしまった。
周りも気づかない。
召喚されてきた場所は、小さな部屋で、目の前には注射器を持った、一般的な目の黒い所と白い所が反転していて、肌と短髪が黒く、白のカッターシャツに茶色のズボンと茶色のベスト、その上に白衣を着ている男性であった。
男性は、手を出してと言うが、香苗は拒否をした。
「説明が先ですよね。」
香苗は、男性に説明を求めた。
確かに、今まで召喚されてきた人は、説明を求めていたから、口で説明するのが面倒くさくて、男性の後ろにあるホワイトボードに書いていた。
それを読ませる。
「その説明だと、私の血は能力を持っていて、接種して調べたいと。」
「そうです。ですので、腕を出してください。」
「血液を採るだけで、何も体には影響はないのね。」
「はい。ありません。」
香苗は、少し考えて。
「私をここに召喚したのは、貴方ですか?」
「いいえ、ここに召喚したのは、違う者です。」
「でしたら、その者に会わせてください。それが、私が採血する条件です。」
その会話を訊いて、顔を出したのは、黒い恰好をした女性だ。
女性は、香苗を見て。
「言質取りました。」
録音できる機械を持って来て、再生する。
再生した音からは、先程の自分が言った声が聞こえて来た。
「では、会わせます。連絡を取りますね。」
早苗は、小さな部屋から出された。
出された領域を見ると、まるで異世界に来たかのように思えたが、違うのを確認出来る。
それは、地上で見たことがある物が多くあった。
一番最初に目に着いたのは、電子レンジであった。
次に、IHクッキングヒーターに、タブレット、パソコン、マウス、冷蔵庫。
ベッドの枕元には、据え置きでも携帯でも出来るゲーム機。
細かく見れば、台所の上には、昼ご飯を作っていると思われ、固形のカレーのパッケージが置いてあった。
鍋には、ゆっくり、弱火で、煮込まれている野菜達が泳いでいた。
「ここは一体?」
香苗は訊くと。
「ここは、人間の血液を採取して、研究している所ですよ。」
黒い服を来た女性が、説明をしてくれた。
説明内容は、人間の血には一人一人能力が宿っていて、大抵の人間はそれを発揮しなく一生を果たす。
しかし、こうやって研究をしていって、能力を広め、培養して、今生きている人間に投与する。
それにより、気づかない内に能力が宿り、もしかしたら、発揮してくれるかもしれない。
そんな小さな希望を、この研究所で作っている。
「それで、私の能力も選ばれて、培養したいと。」
「はい。」
「所で、私の能力って何?」
すると、最初にあった男性が、注射器を持って来て。
「それは、教えられません。」
「……、わかったわ。」
男性の目を見ると、約束は守ってくれそうだし、本当の事を話していると思われる。
だから、腕を出した。
採取が終わった。
「気分は悪くないですか?」
「大丈夫です。」
男性は、香苗の顔を見ると、大丈夫だと判断し、リンゴジュースを用意して、香苗の前に出した。
「今、連絡を取っている最中ですので、こちらを飲みながら、お待ちください。」
「はい。所で、貴方の名前は?」
「俺は、月神で、月の神様です。そして、あちらの方は、黒神で、黒いモノの味方です。最高神から、血の研究を任せられています。」
「そうなのですか。でしたら、私は、魔法陣から逃げてはいけなかったのですね。」
「召喚士は、とても、大変そうにしていましたよ。俺としては、黒神が香苗さんの研究が出来なくて、少し落ち込んでいましたので、なだめるのに必死でした。もし、知り合いの中で、足元に魔法陣が現れると相談を受けましたら、是非、抵抗をしないようにお伝えください。」
「はい。この度は、ご迷惑をお掛けしてしまい、すみませんでした。」
すると、家の扉をノックする音が聞こえた。
扉を開けると、そこには、二人、甲冑で武装した人がいた。
「お迎えに上がりました。」
黒神は、少し話しをしてから、香苗を呼び、武装した二人に任せた。
外には、ノアの箱舟を想像させる船が待機していて、中に香苗は乗り込む。
箱舟は、宙に浮きあがり、空を泳いでいった。
香苗を、黒神と月神が見送る。
香苗は、箱舟の中は、とても静かで緊張をしていた。
これから会うのは、自分を召喚しようとしていた、召喚士。
どんな人だろう。
怖い人かな?
それに、迎えに来た武装をした二人は、何も話さないのが手伝い、さらに怖くなった。
もしかしたら、召喚士に会うのは、とても大変ではないか。
「ついたぞ。」
箱舟から降りると、そこは、とても綺麗な場所であった。
扉が何重にもあり、一番奥には、神殿があった。
扉と扉の間には、草木、花がとても綺麗に咲いていて、大切にされているのが分かる。
虫も鳥もいて、健康的に、自由に、生きていた。
水も流れており、魚も少なからずいて、それらもとても健康的に泳いでいた。
こんな場所にいる召喚士。
とても、神聖な人で、会う事すら、恐れ多いのでは?と香苗は、歩く度に怖くなっていた。
最後の扉に来て、神殿内に入る。
神殿内は、とても広くて、清潔で、シーンとしていた。
神聖な場所っていうのは、こういうものなのだろう。
それこそ、土足で入っていいのか。
靴の汚れを気にして、身なりを気にして、そして、言葉遣いを気にしていた。
「さっ、着いたぞ。」
着いた場所は、扉には、高価な模様が装飾されており、ノブも黄金に輝いていた。
甲冑を着た人が、ノックをする。
「畑野冬至。客だ。」
ギギギ……と開ける音が聞こえ、中を見た。
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