第4話
「F級がよっ! 後ろに並びやがれっ!」
「っ!!?」
ワイがまた仕事を受けようと列に並んでたら、いきなり突き飛ばされた。そんでそんなことが起きるなんて思ってなかったから、ふらついて床にペタンや。
横入りしたのは3人組。なんか嫌らしい顔でニヤニヤしててムカついたわ。
『っち。痛い目見せ――――』
「うごっ」
「ぐえっ」
「ぼっ」
『……やりすぎとちゃう?』
「直れ」
「ふざっ…………ぶほっ!?」
「直れ」
「ぶっ殺し――――ぐあっ!?」
「直れ」
「「「…………すいませんでした(ガクブル)」」」
『ワ、ワイはこんな風に育てたんやない……』
(((ボコって回復させを繰り返す。このガキやべえ……)))
なにいってるん、天ちゃんがヤれ言うたんやろ? それに街中で殺しはダメ言うから、わざわざ直してるんやで。
思った通り3人組は謝ったし、ワイは列に戻ったし、めでたしめでたしや。
「ほ……本日はどのような、ご、ご用でしょうか?」
「お仕事おなしゃす」
「おな……しゃす?」
ちょっと今日の受付のねーちゃんが変やけど、ちゃんと仕事は用意してくれたわ。またお手伝いがんばるでー。
「おめでとうございます。今日からE級です」
『あっさりやなー』
「そんな簡単でええん?」
「依頼人の評価が毎回最高評価。私は聞いたことがない実績です」
「でもF級やろ?」
ワイの疑問にねーちゃんは首を横に振る。
「街中の依頼で危険がないというだけで仕事には違いはありません。依頼人の要望に沿った仕事をする冒険者をギルドは高く評価します」
「そうなんやなー」
「次の仕事は街道の整備をお願いしたいです。モンスターや害獣を駆除するのも仕事に含まれます。クラフトさんはソロですが、どこかのパーティーを紹介しましょうか?」
『しばらくパーティーはええやろ。厳しくなるまでランクを上げるで』
「紹介はええわ。じゃあ依頼人のとこ行ってくるわ」
「はい、お気を付けて」
そういえば、前に横入りされた時以来、横入りされることも誰かが横入りされたのも見てないなぁ。たまたまガラの悪いのがいったってことやな。
「こんちは。E級冒険者のクラフトやで」
「依頼を出したイランだ」
依頼人のおっちゃんは西門の責任者とかいうお役人さんやったで。
「やってもらうことは簡単だ。街道には馬車が通るから危なくないよう、このくらいの大きさ以上の石をどかしてほしい」
『ほー。どかすだけなら足で道端に蹴り出せばええなぁ』
「それなら簡単そうや」
「それとゴブリンやウルフが出る。討伐に応じて報酬を出そう。討伐証明は右耳を持ってこい」
「了解やで」
なんか簡単そうな依頼やな。E級ならまだまだチョロそうや。
「ほーい。ほーーい。ほーーーーい」
『クラにとっては楽勝な依頼やな。楽しそうに石蹴っとるわ』
ウルフがときどき出てくるけど楽しい依頼やで。しかしそろそろお昼時やっと思ってると――——
「もう次の街なんやけど」
『クラの身体強化魔法エグすぎるで』
隣町で定食食べてさっさと街に帰るで。
「おっちゃん、終わってまったわ」
「はぁ? 嘘つけ。終わるわけないだろ!」
『それが終わってしまったんよな~。クラ、耳出しぃ』
「ほーい」
「……マジか」
帰りは石なんて気にしなくていい。道の近くにいたウルフとゴブリンを狩りまくってたから、どっさりお持ち帰りやで。死体を焼かなくていいのは助かるわ。
「ところでおっちゃん。気になってることがあるやけど」
「なんだ?」
「門のあたり、雨降ったら水たまりできんか?」
「……できるが、なんだ?」
「土盛ってならそか?」
「やってくれると助かるが……」
「ついでに石畳もどうや?」
「そんなことまでできるのか!?」
「こう見えても村でお手伝いしてたんやで」
「お手伝い??」
『やってること土建屋やもんなー』
なんか門の前後、馬車5台分で銀貨20枚くれるらしいで。おっちゃんが自分の財布から出してくれるらしいわ。感謝やで。
「こんなもんでどうや?」
「まさか街道の整備と一緒に1日で終わらせるとは……」
依頼に最高評価しか付けれないのが残念って言っとった。おっちゃん良い人やなぁ。
他のE級の依頼もポポッポ~ンやで。
「おめでとうございます。D級に昇格しました」
「あざっす」
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