勧誘者.2
…——〝ヘーレンドゥン・ヒチ・アールヴレズル〟——
実名――それも、〝
名乗りをあげるような流れではなかった。
それなのに成された行動のとうとつさにセレグレーシュは、目を
相手の灰色がかっているようにも見える(銀色
かたわらにはアシュヴェルダもいるが、
いま、そこ――小規模の森の始まりを前にして。いくばくかの草地を間におく位置に
人間に
セレグレーシュの
《法の家》にあって。たびたび見かける中に、なんとなく、そんな気がしていたセレグレーシュではあったが、いまの名乗りで、どこかあやふやだったその男の状態、ありかたを〝それ〟と明確に理解する。
その
誓約的な縛りがあるからだろうか?
その霊的波長に加え、なにか物質…《法具》に似たものが、存在として不安定な部分や不足のある部位に〝がっしり〟と、くい込んで、
足りない部分と過剰な部分の均衡――バランスの不備が
人の目には映らないレベルの…――本来であれば彼ではなかった異物をとり込み、多次元的に混ぜ込まれて成りたっている状態が、正規表現として標準化され、
いまのカタチこそが〝彼〟なのだと……その
(
全体を見れば悪い構成でもないんだけど、無茶苦茶っていうか、〝むりくり〟っていうか……。巧妙ななかにも仕上がり……くくり
成り立っているようでも、単独では成っていない。オレの中には無い発想……。
《
……いや、違うな…。
これは、やっぱり…。
法具を利用するにしろ、《
そういえば……。スタ師範は、《
その系類というより、ありがちな亜人か……。亜人としても人間に近い印象がある。
これまでは個性というか、遺伝形成・形質による
どんな手順で組みあげればそうなるのか――?
修業も初期段階のセレグレーシュには、その技術的な部分……手法や過程にまでは分析がおよばない。
けれども彼は、自然物であれ、人為的な構造であれ、その技能を学びだす前から、そうして出来たもの・仕上げられた構成の特徴、形……ものによってはその方向性や効果まで、素材や機構のありかたを精緻に感じとる
それなりの集中力を必要とするので、興味がその方面に向いて、
そうする行為に少しでも意識的な抵抗があれば、動かないもの。
かなり直感的で根拠が不確かだったりもするので、必要な情報や知識がなければ、感じとれても理解などしきれない――確信を
どうあるにしろ彼、セレグレーシュは、素材や物体の存在としての〝ありよう〟、状態……
いま、目にしている様式――
とくに、その
姿……
そこには肉眼では見通せない〝てこいれ〟のような組成が感じとれる。
それはそれで
どこか〝
けったいなことに、それは、いま耳にした家名とおぼしき名字にまでおよび、いっしょくたに統合されていた。
闇人……その係累が
その
さらに変則さを言えば、この文化圏において、
出るところに出れば
いずれにせよ本名を伏せ、通名や愛称でやり過ごしがちなこの文化圏においては、そういったものを帯びていても、(必要な場面でもなくば)伏せておくのが常識で――
くわえて。
容易には名を明かさない
名字がついていて、自然にはあり得ない
さして長い空白ではなかったが、いろいろと日常的ではない現象・
すると、表面的には繊細な美少年にしか見えない
〔わたしは名乗ったぞ。おまえの名は知ってるが、これが会い
そう。
例の師範の周辺によく見かけはするが、これまでは、ずっと距離があった。
要求されたのが、これという目立った肩書もない人間(にして平民)だからすんなり受け流されたが、
相手に服従を要求するようなもの。
受ける者の気性にもよるが、大概は円満であろうと、その関係を壊しかねない
喧嘩をしかけるに
とまどい面喰らいながも、理由(名を伏せたくなるような経緯)でもなくば、そういった事柄に抵抗を持たないセレグレーシュは、流れに逆らうことなく求め(催促?)に応じた。
〔セレグレーシュです。……
通名では満足しそうにないので、そのままに告げると、その
〔
〔は? ――って……オレ、行くとは言ってないんだけど〕
〔
なにも暇でこうしているわけではないのだが、講義をすっぽかしてしまったので、そうではないと……自由にできる時間じゃないとまでは言えない。
それまでは、彼にとって非常に重要度の高い話し合いの
あらたな疑惑が生みだされもしたが、それでも、これという部分は押さえた感があったから、セレグレーシュの場の流れに逆らおうという意思は、さほど、
あまりに一方的で、強引にも思えた相手の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます