第五話 日向瑠奈の過去
日向さんは今の状況や原因について教えてくれた。
きっかけはささいなことだったらしい。睡蓮さんと何回か話したときに話が合わなかったり、趣味も違って仲良くできなさそうだと日南さんは思ったそうだ。
でも睡蓮さんは考えが全く違う人がいるのを受け入れられなかった。
それで日向さんにいたずらをするようになってどんどんエスカレートしていった。
「でも、考え方が違う人がいるのは仕方のないことだと思うよ。睡蓮さんにもそれを受け入れてもらうしかないよ」
「うん。そうだよね。でも……」
日向さんは何か引っかかっているようだった。
「なにか聞いてほしいことがあるの?」
「じつは、私両親が離婚してて。なんか人間関係に自信がもてないんだよね。結局どう頑張っても分かり合えない人はいるんだと思うと、なにをいっても無駄だと思ってしまうの」
「……ごめん。つらいこと聞いて。もうちょっと考えるべきだったよ」
「いやいや気にしないで。私は聞いてもらえてなんか心が軽くなったから」
日向さんは苦笑いでもやっぱりかわいかった。
「きょうはありがとう。私誰かとデートするなんて初めてだったよ」
「え!?そうなの。てっきりこういうの慣れてるのかと」
「いやー両親が離婚したの小6だからさ。中学校時代は結構暗かったんだよ」
「そうなんだ。中学時代の日向さんってどんな感じだったの?」
「いやいや、そんなたいしたことないよ」
「いや、きっとかわいかったんだろうなあ」
「かわ!?」
日向さんの頬がほのかに赤くなる。
焦っている日向さんもかわいい。
「とにかく。今日はありがとう。私はこっちだから」
日向さんは走って行ってしまう。
危ないなあと思いながら。俺も帰路についた。
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