第二話 新しい世界

よし、この後が今日の山場だぞ。

 俺は黒板に貼ってあった紙に書いてあった真ん中の後ろのほうの席に座った。

 おそらく新クラスでの自己紹介は今後のクラスの立ち位置を決めるかなり重要なものだろう。とにかく変な奴だとは思われたくない。幸い席は真ん中付近だからトップバッターになることはないはず。前の人のフォーマットを踏襲すれば無難だろう。

 しかしすでに問題が発生している。

 

「えー!俺もそのゲームやってる!フレンドなろうぜ!」

「睡蓮ちゃんの髪型かわいいー」

 

 なんか周りが楽しそうにしゃべっている!

 まじ!?なんでそんな急に仲良くしゃべれるの!?

 とりあえず俺も隣の人に話しかけたほうがいいか?

 でも隣は女の子だ。

 どうする。

 いくしかない。

 

「あのー。学校めっちゃ広いね。」

「え?うんそうだね。」

「……」


 次何話せばいいの!?


 ――――――


 結局あの後何も話せずもたもたしていると先生が入ってきた。

 

「皆さん初めまして。皆さんの担任を一年間務める端野麗です。よろしくお願いします」

 

 凛とした雰囲気のいかにも仕事ができそうな女性だ。

 美しい長い黒髪をなびかせて歩いてきた。一部の男子からこそこそした話し声が聞こえてくる。

 内容は聞こえないがおそらく先生がめちゃくちゃ美人なことについてだろう。


「ではまず全員に自己紹介をしてもらいます。では出席番号1番のかたから」


「はい。……」


 順々に自己紹介をしていき俺も無難にやり終えた。

 次は俺の隣の席の女の子だ。

 

「阿木中学校から来ました、日向瑠奈ひなたるなです。趣味はアニメ鑑賞です。よろしくお願いします。」


 さっきはてんぱっていて気が付かなかったが日向さんは美少女だ。さらさら黒髪のボブヘアで、うっすら化粧をしているのだろうか、とてもきれいな白い肌だ。

 でも、そんなに活発なほうじゃないのだろう、ほの暗い雰囲気を感じた。


――――――


 学校一日目はなんとか無事に終えることができた。

 俺のこれからの学校生活のためにもまずは隣の日向さんと仲良くなるぞ!

 そう思ってその日俺はベッドに潜るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る