真夜中のコンビニで

第6話 人気アイドル 桜井ゆい登場

2024年6月24日（月曜日）、深夜2時。雨が少し止みかけた夜。

深夜2時、アキラはカウンターでコーヒーを飲みながら、雑誌の整理をしていた。外では雨が弱まり、ポツリポツリと静かに降り続いている。コンビニの窓にはまだ水滴が残り、街灯の光が淡く反射していた。

ドアが静かに開く音がして、アキラは顔を上げた。入ってきたのは、フード付きのジャケットを深く被った女性だった。彼女は急ぎ足で店内に入り、フードを取ると、美しい顔立ちが露わになった。その瞬間、アキラは驚いた。彼女は、今をときめく人気アイドル、桜井ゆいだった。

ゆいは周囲を警戒するように見渡し、棚に向かって歩き始めた。アキラは心臓が高鳴るのを感じながら、普段通りの接客を心がけた。ゆいはお菓子のコーナーで立ち止まり、小さな袋に入ったキャンディーを手に取り、カウンターに向かってきた。

アキラは微笑みながら対応した。「こんばんは。今日はどうされましたか？」

ゆいは小さな声で答えた。「こんばんは。ちょっと甘いものが欲しくなって。」

アキラは頷きながらレジを打ち、「ファンなので、驚きました。こんなところでお会いできるとは思いませんでした。」と言った。

ゆいは少し照れくさそうに微笑んだ。「ありがとうございます。たまにこうして一人で出かけると、気分転換になります。」

アキラはコーヒーを手に取りながら、「それは大事ですね。お仕事は大変でしょう？」と尋ねた。

「ええ、とても忙しいです。でも、ファンのみんなが応援してくれるから頑張れます。」ゆいはそう言って、支払いを済ませた。

アキラはその言葉に心を打たれた。「応援しています。頑張ってくださいね。」

「ありがとう。あなたのような優しい言葉に、いつも励まされています。」ゆいは温かい微笑みを浮かべ、店を出て行った。

アキラはその背中を見送りながら、今日の特別な訪問者との交流に心が温かくなった。雨はほとんど止んでいたが、まだ微かな雨音が響いている。アキラは次の訪問者を待ちながら、コンビニの静けさと外の穏やかな空気に包まれていた。