真夜中のコンビニで

第5話 れたビジネスマン

2024年6月23日（日曜日）、深夜2時。今日も雨が降っている。

深夜2時、アキラはカウンターで商品の陳列を終え、深夜の静けさに身を委ねていた。外では雨が絶え間なく降り続け、コンビニの窓に水滴が流れ落ちていた。湿気を帯びた空気が店内に漂い、アスファルトの香りが微かに感じられた。

店内は冷蔵庫の低いハム音と蛍光灯の微かな音だけが響き、静寂に包まれていた。そんな中、ドアが静かに開く音がして、アキラは顔を上げた。入ってきたのは、スーツ姿のビジネスマンだった。彼は濡れた髪を軽く振り払いながら、重い足取りで店内に入ってきた。

ビジネスマンは疲れた様子で棚を見回し、温かい飲み物のコーナーに向かった。アキラはその様子を見守りながら、彼が何を求めているのかを考えた。ビジネスマンはしばらくして、ホットコーヒーの缶を手に取り、カウンターに向かってきた。

アキラは微笑みながら対応した。「こんばんは。長い一日でしたか？」

ビジネスマンは疲れた表情で頷いた。「こんばんは。ええ、出張から帰ってきたばかりで。ずっと移動していて疲れました。」

アキラは理解を示しながら、「お疲れ様です。温かいコーヒーで少しでも癒されるといいですね。」とレジを打ちながら言った。

「ありがとうございます。」ビジネスマンは感謝の言葉を述べ、小銭を取り出して支払いを済ませた。

アキラはコーヒーを渡しながら、「どこへ出張だったんですか？」と尋ねた。

「大阪です。会議が長引いて、急いで戻ってきました。」ビジネスマンはそう答えながら、疲れた様子でコーヒーを一口飲んだ。

「それは大変でしたね。移動だけでも疲れますよね。」アキラは同情の気持ちを込めて言った。

ビジネスマンは微笑んで、「ええ、本当に。でも、こうやってちょっとした温かい飲み物があると、少し元気が出ます。」と言った。

「それは良かったです。また何かあればいつでも立ち寄ってくださいね。」アキラは笑顔で答えた。

ビジネスマンは「ありがとう」と短く言って店を出て行った。アキラはその背中を見送りながら、今日も新たな出会いに心が温まるのを感じた。

雨はまだ止む気配を見せず、しとしとと降り続けている。アキラは次の訪問者を待ちながら、コンビニの静けさと外の雨音に包まれていた。そして、外の街灯の光が濡れたアスファルトに反射して、夜の静けさを一層引き立てていた。