第2話 夜の訪問者
2024年6月20日(木曜日)、深夜2時。今日も雨が降っている。
深夜2時、アキラはコンビニのカウンターでレジのチェックをしていた。外では雨がしとしとと降り続き、昨日と同じように窓ガラスには水滴が流れていた。コンビニの入り口近くの花壇では、紫陽花が雨に濡れて一層鮮やかに輝いていた。
店内は冷蔵庫の低いハム音と蛍光灯の微かな音だけが響き、静寂に包まれていた。そんな中、ドアが静かに開く音がして、アキラは顔を上げた。今夜の訪問者は、背の高い若い女性だった。彼女は長い髪を濡らし、傘を閉じて店内に入ってきた。
女性は店内をゆっくりと歩き回り、棚の一つ一つを丁寧に見て回った。アキラはカウンター越しにその様子を見守りながら、何かを探しているのか、それともただの散策なのかを考えていた。
しばらくして、女性は温かいお茶のペットボトルを手に取り、カウンターに向かってきた。アキラは微笑みながら対応した。「こんばんは。お茶ですか?」
「はい、雨が降ると温かいものが飲みたくなりますね」と女性は微笑みながら答えた。
アキラは頷きながら、レジを打ち込んだ。「そうですね。雨の音を聞きながら温かいお茶を飲むのは、なんとも言えない癒しになりますね。」
女性はお茶を受け取り、小銭を払った。「ありがとう。ここに来るのは初めてだけど、とても落ち着くお店ですね。」
「それは嬉しいお言葉です。またいつでもお越しください。」アキラはにっこりと答えた。
女性は「ありがとう」と短く言い、店を出て行った。アキラは、その背中を見送りながら、今日の新しい訪問者との小さな交流に心が温まった。毎晩訪れる常連客の老人とはまた違った、心地よい出会いだった。
外の雨は止む気配を見せず、しとしとと降り続けている。アキラは、次の訪問者を待ちながら、コンビニの静けさと外の雨音に包まれていた。そして、ふと花壇の紫陽花に目を向けると、その美しさに再び心が和んだ。
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