第33話 時が巻き戻らない青年
隣の席から
「だから、やっぱりいるのよ〝言霊の人〟は!」そんな女性の声が響く。
「噂よ!噂」と別の女性の声もする。
真鍋透が襲撃を強行した時刻
「いや、いるよ〝言霊の人〟は」聡太は、女性達にギターの弦を張りながら、割って入る。
「え!渡瀬くん見たの⁈〝言霊の人〟」
と女性達は食い付く。
「見たも何も、知り合いさ!うちの店長だよ!この前の〝警視総監の事件〟の時も‥」
ビシ!
その瞬間、ギターの弦が切れた!
切れた弦は聡太の目を直撃した!
いや、目は、ギリギリ免れ
時は巻き戻る 30秒
「だから、いるのよ〝言霊の人〟は!」
「噂よ!噂」
先程のシーンが繰り返えされる。
聡太は、〝前にもあった‥内田先生がジョナサンに来た時も‥〟
聡太は、切れた瞼を指で拭った。
「言霊の人なんて噂だよ‥」
今回は、そんなふうに女性達の横で呟いた。
〝自分だけ、時が繰り返されると認識を始めた〟
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