第10話

 家についた。どうやらここが我が家のようで、朝に出会った女性は母親だったらしい。


……本当か?


遺伝子が違いすぎないか。


その辺の審議は今後の課題としておこう。


おいしい食事が食べれるこの環境は維持しておきたい。


それにしても私はどうして、この国に召喚されたのだろうか。


それにタカシだ。この体の持ち主であるタカシはどうなったのだろうか。


考えても意味がないことかもしれないが、疑問は残る。


 それに加えて、この国の文化にも精通していく必要がある。私はまだ、この国の通貨ですら満足に分からない。


まずは知識を増やすことから始めるべきか……


 そんなことを考えていると階段からドスドスドスッという音が聞こえる。ゾクリと震える、奴がこの部屋に迫っているのが音で分かる。


ドアに向かって身構えていると、やはり母がドアをバンッと開けて入ってきた。


「あんたまだ起きてたのー! 早く寝なさい!」


「あ、ああ……」


 思春期の子供の部屋に遠慮なく入るこの女性は、やはり強い。腕っぷしでは勝てるはずだが、なぜか勝てるビジョンが見当たらない。


ピコンッ。


①武器の購入の仕方について質問をする。


②この国の通貨について質問をする。


③野球について質問をする。


④質問は以上だ。


 こんな時に役立つ選択肢が出てきた。なるほど、この項目通りに質問をしていけばいいのだな。よし。


「質問があるのだが、いいか」


「……なんだい」


「武器の購入の仕方を教えて欲しい。できれば刃渡りが1メートル以上あって、折れにくい刃が厚いやつがいいだが」


パシーーーンッ。


「いいからさっさと寝なさい!」


「ぐおぉぉぉぉ!」


頭を叩かれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る