第9話

「よく無事だったなタカシ」


「私にも、ああいうヤンチャな時期があったからな」


「いや、ないだろ」


誰しも通る道だと思うのだが。


 我が国と比べて治安がいい、この国では浮浪者が生まれにくい。そのためああいったヤンキーのような、はぐれ者は誰しも通る道ではないのだろうか。


「我が祖国コンビニダト、そこでは普通だったんだがな」


「ん? いや、確かに夜のコンビニだと、ヤンキー多いイメージだけどな」


そんな会話をしていると、後ろからハァハァと近寄ってくる少女。


「タカシ!」


寄ってきたのは、未だに名前の分からない少女。


「ちょっとタカシ! 大丈夫なの? ヤンキーに連れてかれたって、学校で噂になってるわよ!」


「ああ、安心してくれ。相手がナイフを持っていたので、軽く指導してやった」


「全然安心できないけど!」


私からしてみたら、剣での稽古のほうが慣れている分、安心できるのだが。


「ちょっと見せなさい!」


そういって体を弄られる。本当に怪我もなにもないので、安心して欲しいのだが。


「はあ……本当に良かった」


 この少女もまた私の身の安否を喜んでくれる人だ。タカシ……お前、いろんな奴に慕われてる、いいやつなんだな。私は人知れずタカシの株を上げた。


 結局現場では、私がササッと捌いている間に、タケシだけ2~3発いいのを貰っていた。タケシ、いいやつなんだが今度鍛えてやらないとな。


「私よりもバンブーの心配をしてやってくれ。何発か殴られてたからな」


「え、あぁ……大丈夫?」


「なんか露骨に態度違くない?」


「そんなことないわよ、心配してるわ!」

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