第2話 遭遇
ゲームスタートから初めの一歩を踏み出す。見渡す限りの草原、草の踏みしめる感触、音、青臭い匂い、どれもこれもが本物に感じる
「遂に......遂に俺のやりたい事が叶うぞ!」
正体不明、この世界の秘密を握るキーキャラクター的存在。サウイフモノニワタシハナリタイ!
ぴこん
目の前に突然ウィンドウが現れる
『チュートリアルクエスト』
・街へ行こう 未達成
・身分証を手に入れよう 未達成
・ポータル登録をしよう 未達成
・モンスターを倒そう 未達成
・レベルを上げよう 未達成
『上記クエストを達成して一人前の冒険者になろう!』
やはりゲームといえば最初はチュートリアル。年甲斐も無くワクワクしてしまう
「ステータスオープン!」
又もやウィンドウが現れる。だがそれは先ほどのクエストでは無く自分のステータスウィンドウだ
名前:ジェーン・ドゥ
種族:人族 性別:♂ 職業:無 所属:無
属性:⚠︎レベルが足りません
所持金:10000G ポイント:100
Lv.1 HP(ヒットポイント):100
MP(マジックポイント):100
STR(力):10 VIT(持久力):10 DEX(器用):10 INT(俊敏性):10 AGI(知能):10 LUK(運):5
スキル:無
称号:【初めの一歩】
圧倒的初期値。分からない事が色々とあるから、取り敢えず『ヘルプ』を開く
Q.ポータルってなんですか?
A.街まで一瞬で飛べる、所謂ワープポイントです。ただし、『モンスター、敵性NPCと接敵している』又は、『ポータル登録をしていない』とワープは出来ません
Q.属性とは何ですか?
A.火、水、木、土、金、風、空間、日、月、etc……上記の物の全体呼称です。もちろんこれで全てではないのでこの先は自分の目で確かめよう!
Q.所属とは何ですか?
A.何れかの『ギルド』に登録すると、その『ギルド』に所属している状態になります。プレイヤーが作った『ギルド』もあるので自分で作ってみるのも良いでしょう
Q.ポイントとは何ですか?
A.ステータスに振る事が出来るものです。モンスターを倒す事で入手する事が出来ます
Q.職業は如何やって決まりますか?
A.世界中に存在する街の教会でポイントを捧げて決める事が出来ます。職業はほぼランダムで出るので、自分の成りたい職業が出るまで気長に回し続けましょう
Q.称号は如何すれば入手できますか
A.特定の条件を満たせば手に入ります。ですが条件は秘匿されており、情報はプレイヤーコミュニティで交換できます。他プレイヤーと協力したり、自ら見つけ出したりするのも面白いです。頑張って称号を獲得しましょう
その他様々な質問がずっと下まで続いている
まあ大体理解出来た。それより、
「チュートリアルクエスト如何しようかな〜......」
この初心者丸出しの格好で街に行ったら一目でプレイヤーだとバレてしまう。そうだ、
「別にチュートリアルいらんくね?」
まず最初の街へ行こう→達成不可能
身分証→街へ行けないから達成不可能
ポータル登録→街へ(ry
モンスターを倒す&レベルup→達成可能
「よし、そこら辺でモンスター狩ろう」
思考を切り替えてマップを開きながら狩場まで向かう。道中プレイヤーに見つからない様に隠れて移動した。そうする内に、
ぴこん
ウィンドウが現れる
称号ゲット!
『隠者』を獲得しました
獲得条件:ログインしてから一定時間、誰にも認識されない事
スキルゲット!
『気配感知』『忍足』を獲得しました
初スキルゲット、これは幸先がいい!さて、肝心の能力は、
気配感知:アクティブスキル。半径30mの気配に敏感になる
忍足:アクティブスキル。20秒間存在を認識されにくくなる。クールタイム30秒
結構強い。気配感知はシンプルに強いが、忍足はクールタイムが長いのが欠点だな
そうこうしている内に狩場へと到着した。辺りには誰も居らず静まり返っている
おかしい、余りにも静か過ぎる。穴場でもないごく一般の狩場なのにプレイヤーどころかモンスターの1匹もいない。代わりにあるのはそこに居たであろうモンスター達のドロップアイテム。それが近くにある崖の方まで続いている。まるでアイテムを拾いに来る奴を誘き寄せる
結果として俺の勘は当たった。『気配感知』の範囲に何かが引っ掛かる。そしてそれは物凄い勢いのまま俺に向かって走り出した。俺は直ぐ様その場から跳び上がって避ける
先程まで俺が居たところにデカいクレーターが出来上がった。衝撃で舞い上がった土煙が晴れていく。その中心にいたのは、とてもヒトとは似ても似つかないヒトガタの生き物が立っていた。
「......。」
ソイツは何も喋らない。まるで機械の様に冷たい雰囲気を醸し出している
「ここは一旦逃げさせて貰おうか」
クールタイムが終わり『忍足』を発動。全力で逃げる。だが『忍足』はあくまでも存在を認識されにくくなるだけ。アイツは最初と変わらず真っ直ぐ、物凄い勢いで走ってくる。マズイ追いつかれる!そう思った瞬間一か八かで真横にスライディングして避ける。ソイツはそのまま勢いで崖から飛び出し、落ちていった
「あれ?」
余りの呆気なさに気が抜ける。崖の底を覗き込む。灯りが下まで届いておらず真っ暗で底があるのかも怪しい
ぴこん
音と共にウィンドウが開かれる。そこには大きくレベルアップの文字が書いてある
Lv.1→8 ポイント:100→500
『チュートリアルクエスト』
・モンスターを倒そう 達成済
・レベルを上げよう 達成済
知能が低かった?いやそれ以前に生物であったのだろうか。そこまで思考し、一つの結論に至る
「あいつヒトガタだけど言葉を喋れるほど知能が無かった......何者かが操っていた?いやそれだと崖に落ちる意味がわからない。操っていたのはプレイヤーか?このゲームが販売されてまだ数日、未だにわかっている事が少ない。モンスターをテイムしたり作り出すスキルも無いとも言い切れない」
深読みのし過ぎか、それとも......
「待ってくれ〜!せっかくテイムしたのに〜!」
直ぐ近くの草叢から男が出て来る。
「うん?」「えっ」
「「誰?」」
俺達はこの瞬間気付く事が出来なかった。コイツとかなり長い付き合いになるという事を
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