ある雨の日、弟が事故に遭ってしまう。地球に来て六年目の異星人キュルリャは、弟を助けるためにある異星の装置を起動させようとするのだが……。 ある雨の日の物語です。鬱とした情景から始まるストーリーは、異星人の主人公の過去や家族の話を絡めつつ、弟の事故という事件に繋がります。そこで、主人公の取る行動。その行方。 全編に降り続ける雨が、しっとりと物語を濡らし、SF設定も素晴らしい味付けです。雨が降り続けているのに、この読後感はまるで晴れた空のようにさわやかです。