第5話 2日目の午前中

 ヒエイが朝、起きると隣のベッドにクリスが眠っていた。その可愛い寝顔に少し見とれていると、ヒエイは我に返りクリスを起こし始めた。この時は7時だった。それから2回くらい起こすと、眠そうにしながら、クリスはあくびをして起きた、起きるのに1時間掛かった。

 二人が階段を降りて一階に向かうと。昨日の夜とは大違いで、食事スペースには人が全く居なかった。この世界の人の朝は早いのだ。

 二人はパンとお肉のスープが食べ終わると、休んでいるユキにこの街の事に付いて聞いた。


「この街に公衆浴場とか日用雑貨を売っている場所はある?」

「その他にも見たい物があるのだけど」


 クリスがユキに聞くと、ユキは口を開いて答えた。

「少し時間、経ったら暇になるから良かったら街の中、案内しようか?」 


 ユキがそう言うとヒエイがすかさず。

『お願いします』

 ヒエイは嬉しかったのか、ヒエイの反応は早かった。そしてクリスが、「魔法やスキルを試せる場所はない」かをユキに聞くと、カウンターにいたユキのお母さんが「庭を破壊しないなら、庭を使って良いよ」と快く貸してくれた。

 2人はユキのお母さんにお礼をして、ユキに案内してもらい庭に向かった。庭に着くとユキは仕事に戻って行った。2人は広い芝生の上で座りながらスキルを試した。


「じゃあ、さっそくヒエイのスキル見せてよ」

 クリスがそう言うと、さっそくヒエイが銃を作って見せた。

『おう、銃作成ガンクリエイト

 そう言ってヒエイが作り出した銃をクリスが鑑定すると。



M1911―コルト・ガバメント

ランク☆☆☆

口径 .45

ヒエイのスキルによって作れた。

制作者 ヒエイ



『弾、入ってないな……』

 ヒエイはそう言って、マガジン(⁠弾倉だんそう)と薬室やくしつを手慣れた手つきで確認すると、次は弾を作り始めた。

『弾薬無限』

 ヒエイがそう告げて弾を8発、生成した瞬間ヒエイは芝生に倒れてしまった。それもそのはずMP切れでマジックスキルを使うと、代わりにSPを消費してしまうのだから。ヒエイはMPとSPを全て消費してしまって倒れたのだ。クリスは倒れたヒエイに急いで駆け寄った、MPとSPを消費して倒れた事を知ると少しほっとした。しばらくしてヒエイが目を覚ますとクリスが隣でヒエイに何かをしていた。ヒエイはクリスに何があったかを聞いた。


『う…………』『何が起きたんだ?』

 ヒエイは頭を押さえながら芝生から体を起こして、クリスに聞いた。

「ヒエイはMPとSPを全て消費して倒れたんだよ」「だから私が光魔法の《マナトランスファード》と《スタミナトランスファード》を使っていたの」

『クリスはMP切れ、大丈夫か!』

 ヒエイが驚いた様子でクリスを心配するとクリスは。

「うん、大丈夫」

「MP切れの心配は無いよ、《マナトランスファード》と《スタミナトランスファード》の改良をして大気中からマナを集めて回復出来るようにしたから」

「時間がかかるんだけど、まあ、ゲームのチャージ技みたいなものだね」

 クリスは得意げに言うと、思い出した様に言った。

「そう、そう、ヒエイが倒れている間に魔力操作と魔法の練習をしてたんだけど」

「頭の中でピッ、て音が鳴って、もしやと思ってステータスを確認したんだけど」

「なんと……」「スキルを獲得したんだよ!!」

 クリスが喜んで言うとヒエイは。

『どんなスキル?』

「魔力操作」

『ええやん』『ナイス』

「ありがとう」

 クリスがお礼をすると、ヒエイはクリスの可愛い笑顔に少し照れて、あさっての方向をむいた。


 そんな事をしているとユキが普段の給仕服ではなく私服で、庭に出てきた。


「2人共おまたせ」

 ユキがそう言うとクリスは笑顔で答えた。

「大丈夫だよ」


「じゃあ、さっそく案内するね」「どこ行きたい?」

 ユキがそう尋ねると、クリスは。

 「日用品からかな」

 「いいよ」「質の良い物ならこの街一番の商会だね」「それ以外だ露店かな、たまに掘り出し物とかあるよ」

 「両方行きたい」

 クリスは掘り出し物に食い付いたようで、喜んで言うと。ユキが少し笑うと3人は露店が並ぶ大通りに行った。3人が露店が並ぶ大通りにつくと。

「うわ~~~すごい」

『すげえ』

 クリスとヒエイはそんな声を漏らした。それもそのはずこの街についたときは、早く寝所を確保しようと街をよく見る暇がなかったのだから。

 そんなクリスとヒエイの目に入ったのは、大通りに並ぶ沢山の露店に人、それに中世ヨーロッパ風のファンタジーな街並みに所々、木で出来た建物、それはとても壮観な景色だった。そんな光景にクリスとヒエイは胸をお踊らせ、露店を見ながら歩いていると、ボロボロの中古武器を売っている露店にクリスは目を惹かれ3人は立ち寄った。

 クリスがおもむろに鑑定すると1つの剣が目に留まった。そこには白く細長いガード(つば)の無い剣があった。汚れていて刃こぼれをしているせいか、とても安かった。


ステータス


聖女の宝剣

ランク☆☆☆☆☆

決して折れる事はなく、使用者とともに成長していく剣

効果 斬れ味回復

   聖女スキル威力アップ

   光魔法威力アップ


クリスはすぐに聖女の宝剣を手に取った。

「おじさん、これをください」


「いいぞ3000リスだ」

 クリスはすぐにお金を払いお釣りをもらうと、聖女の宝剣をヒエイに見せた。

「これすごい掘り出し物」

 そう言われヒエイは鑑定すると、驚いた表情で言った。

『すご、確かに掘り出し物』

「でも、聖女って剣を使う前衛キャラだっけ……」「絶対に違うよね!」

『だな、聖女が剣を使うなんて、聞いたこと無いぞ』

 そんな2人の会話している後ろにいたユキは2人の会話を聞いて、言った。

「確か、大昔に剣を使う聖女がいたよ」

「いたんだ……」

『まじか』

 2人が驚くと、ユキは笑顔で言った。

「掘り出し物見つかって良かったね」


そうして3人は商会に向かった。


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