第6話 商会そして教会

 それは3人が商会に向かっている最中だった。ユキはクリスが露店で買った剣について聞いてきたのだ。

「それにしてもすごい掘り出し物だね」「聖女の宝剣なんて」「その剣どうするの?」

 ユキがクリスに聞いた。

「MPを消費して斬れ味を回復するみたいだから私が使う」「剣、使ったこと無いけど」

 クリスが困った顔で言うと、ユキが言った。

「それじゃあ私が教えてあげようか?」「私こう見えてもBランク冒険者だから」

 そう言うと、ユキは冒険者カードを2人に見せた。


 『「えっ」』

 クリスとヒエイは驚いた、そして立ち止まり、クリスは真剣な目でユキにお願いをした。

 「私に剣を教えて下さい」

 そしてユキはニッコリとして答えた。

 「いいよ」「ただし」「厳しいよ、覚悟はいい」

 

 「はい」

 クリスは元気な声で答え、聖女の宝剣をアイテムボックスにそっとしまった。

 そして3人は歩き始めた。その途中クリスは武器のことで思い出したのか、アイテムボックスから預かっていたヒエイの銃(M1911ーコルト・ガバメント)を取り出し、こっそりヒエイに返した。

 

 そして、3人が商会に付くと、そこには全面が障子ガラスになっており、外から廊下が見える作りの、和風の2階建ての建物が建っていた。建物の上には大きく、カク商会の看板があった。その看板を見てヒエイは言った。

『核、商会』『あからさまに蒸発しそうな名前だな』

 

「たぶん絶対そっちじゃない」

 クリスがそう言うと3人で店の中に入った。するとユキが店員に「姉さんを呼んで」と言うと、店員は店の奥に行ってしまった。

 店の奥から出てきたのは和服を着た、ユキと似たような顔立ちの妖艶さを持つお姉さん、そしてユキと同じ狐人族だ。

「ユキよう来たな」「なにしにきたのかや」


「買い物」「今日は将来有望そうな2人を連れてきたの」


「ほう」「それは予感かや」


「そうだよ」「過去一番だよ」

2人はそんな会話していると彼女はこちらをみて、顔を隠していた扇子をパチンと閉じた。 

「わちきがここの会頭をしておるユキナじゃよろしゅうな」

 

 クリスとヒエイは初めての事で一瞬固まると、自己紹介をした。

「私はクリスです」

『ヒエイです。』

 

 ユキナはふっと笑い「何が欲しいのかや」と尋ねた。

「日用品です」「歯を磨くブラシとかありますか?」

「他にも欲しい物があるんですが」

 クリスはそう言い、ユキナに近づいて、ヒエイに聞こえない声で恥ずかしそうにユキナに耳打ちした。

「髪の毛を梳かすブラシとか」「……下着とか……」「他にも色々………」

 そう言うとクリスは顔を真っ赤にして、「ここでは話しにくいんですけど……」そう言うとユキナは何かを察したのか、他の2人に「ちと奥に行ってくるのう」と言うとユキナとクリスは店の奥に行った。

 

 店の奥に行くと、クリスは顔を真っ赤にしながら自分に置きた事を異世界から来て神に会ったとかを伏せて説明した。

「なるほどの」「してなぜわちきに話したのじゃろか?」

 ユキナがそう言うとクリスは言った。

「一番信用できそうだったから」「それにいい商人はみんな揃って信用第一だろうから」

 ユキナはふっと笑った。

「よう分かっておるのう」「よしわちきが教えてやろう女に必要な物を」

 そう言ってユキナとクリスはしばらく経って奥から出てきた。


『ずいぶん長かったな』『何話してたんだ?』

ヒエイがクリスに聞くいた。するとクリスは「秘密」と言って話さなかった。そして店員が奥から歯を磨くブラシの他に大きな箱を持ってきた。2人はそれを買いクリスだけは歯を磨くブラシと大きな箱をアイテムボックスにしまった。そして「またいらしてな」とユキナがそう言うと3人は店を出た。

「欲しい物手に入った?」


「うん」

『手に入った。』


「それで他には行きたい所ある?」

 ユキがそう言うと、クリスが言った。

「公衆浴場とかある?」


「あるよ場所教えようか?」

 ユキがそう言うと2人は場所を教えてもらった。


『俺達はこのあと教会に行ってクラスに就いてから冒険者ギルドにギルド登録しに行くけどユキはどうする?』

ヒエイがユキに聞くとユキは少し考え込んでから答えた。

「2人について行っていい?」


「いいけど時間大丈夫?」


「大丈夫今日は夜まで休みにしてもらったから」「じゃあ行こう」

 そうして3人は歩いて教会へ向かった。


 

 3人が教会の前に付くと、そこには一本の塔が奥に建っている教会で隣には孤児院が建っていた。3人が教会の中に入ると、そこには5mくらいの創世の女神エリシス様の像がありその隣、左右には別の女神様の像が置かれていた。奥に入ると、女子高校生くらいの金髪で黄色い目のシスターが出て来た。

「今日はどのような要件でいらしたのですか」

 シスターが訪ねると、ユキが前に出て答えた。

「エリスシア、今日は2人のクラスを決めに来たの」

 その会話にクリスは疑問を投げかけた。

「2人は知り合いなの?」


「うん、小さい時からの幼馴染」

 ユキがそう言うと、エリスシアも答えた。

「幼い時よく2人で遊びました」「お二方はクラスを決めに来たのですね」

 エリスシアがそう言うと、クリスは門番のお兄さんが言った事を思い出したようで、はっとした。

「これ、お布施です」

『あ、お布施です』

 そう言ってお布施を渡すと、女神の像の前に案内された。

「女神の像の前で祈ってください」「祈りの形式はなんでも構いません」「祈るという事が大事なのです」「さすれば頭の中に自分のクラスが浮かびます」「その中から選んでください」

 エリスシアに言われ、はじめにクリスが前に出た。クリスは手を2回叩き、手をあわせ目を閉じると、頭の中に浮かび上がった。


(クリスの頭の中)


 ?????

 


 クリスはクラスが一つしかなく、しかも名前が分からなかった。仕方無くクリスは「?????」を選んだ。目を開けヒエイとエリスシアの方を振り向いた。


『どうだった?』

 ヒエイがそう聞くと、クリスは渋い顔をして答えた。

「分からなかった」「クラスが一つしか無くて、しかもハテナで分からない」「仕方無く選んだけど」


 『何じゃそりゃ』

 ヒエイがそう言うと、横からエリスシアが口を挟んだ。

 「聞いたことありませんね」「それは、きっと神が試練を与えたのでしょう」

 そう言われ納得出来ないままクリスは後ろに下がった。

 今度はヒエイが前に出て女神の像の前で、跪き手を合わせ目を閉じた。すると頭の中に浮かび上がった。


(ヒエイの頭の中)


 弓使い

 ガンナー(ユニーククラス)

 斥候



 ヒエイが選んだのはもちろん「ガンナー」だった。ヒエイは目を開けてクリスとエリスシアの方を振り向くとクリスが言った。

「どうせ、ガンナーとかガンマンとかでしょ」

『良く分かったな』

「何年、親友だと思うの」

『だな』

 2人がそんな会話をしているのを隣から見ていたエリスシアが言った。

「2人のこの先の未来に神のご加護がありますように」

「ありがと」

 クリスがそう言うと後ろで待っていたユキが。

「終わった?」「次は冒険者ギルドだね」

 そう言って3人は教会を出ると、エリスシアにお見送りされながら教会を後にした。

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