第11話相合傘とラッキースケベ
彼はその後いつものように授業を受けたのだがさっき同じチームだった生徒や彼らの友達から話しかけられて、いつもより楽しく授業を受けることができた。
だが彼はこのときにある者たちの恨みを買ったことを彼は知らない。
彼は今日はセラ先生の仕事が残っているらしく一人で帰宅することとなった。
彼が校舎を出ようとした時には外では雨が降り注いでいた。
(やっべー、傘忘れてきちゃったな)
彼は仕方なく帰ることを諦めてセラ先生を待とうとしていると
「あ、あの!帰らないんですか?」
後ろに振り向くと朝の彼女が内靴をほっぽって近寄ってくる。
「実は傘を忘れちゃってね」
そう言い終わると彼女はそそくさと鞄に手を入れて何かを取り出した。
「あ、あのこれよかったら」
彼女が手渡してきたのは折り畳み傘だった。
「えっ、でもそれだと君が…」
彼女はふるふると顔を横に振ってくる。
(ああ!もう一本あるから貸してくれるっていうことか!)
「それじゃあお言葉に甘えて、ありがとね」
「そ、それじゃあ行きましょうか!」
「うん、それじゃあ明日返すからまた学校でね」
彼はそれだけ言い残して去ろうとしていると何故か彼女も一緒にくっついてきて傘の中に入ってきた。
(…何かの勘違いかな)
彼は気を取り直して歩き出すと彼女もそれに合わせて横にピッタリとくっついてくる。
「……」
「……」
「えっと…」
「
「東雲さん…」
「
「梓さん!どうしてくっついてくるんですか」
「えっ?だってくっついてないと雨で濡れちゃうじゃないですか」
彼女はさも当然の如く言ってくる。
(…待て待て、落ち着け。 …まさかそんなはずはないだろう)
彼の脳内はある正解を導き出したが彼は即座に否定する。
(でも一応…)
「えっと傘は持ってないの?」
「?傘なら今使ってるじゃないですか」
「…えっと、折り畳み傘以外は持ってきてないの?」
「?持ってきてないですよ」
「…そっかぁー」
彼は心底驚いた後呆れ顔を見せる。
「えっと、そういうことなら傘はいいよ。 俺は走って帰るからさ」
「そ、そんなダメですよ!風邪引いちゃいますって!(それにもっと賢也くんと相合傘を楽しみたいし…)」
「いやでも、付き合ってない男女で相合傘は…」
「いっちゃダメです! わ、私は気にしませんから!」
彼はしぶしぶ緊張しながらも彼女と相合傘をすることになった。
彼の頬は軽く肩がぶつかるたびに赤くなり、彼女の方に至っては顔を真っ赤にして下を向いていた。
それがダメだった。
しばらくして彼らは交差点に差し掛かった。
前の信号は渡る直前で点滅し始めた。
彼が走って渡ろうと周りを見渡すと信号を無視してスピードの速いトラックが走り込んできているのが見えた。
彼は危ないから行くのはやめようと足を止めたが彼女は下を向いたまま横断歩道を渡ろうとしていた。
彼がトラックに目をやるとトラックも彼女のことに気づく様子はなく、スピードを上げる始末だった。
「梓!危ない!」
「えっ?キャッ!」
彼は咄嗟に傘を投げ捨てて急いで彼女の鞄を引っ張り、倒れてくる彼女を受け止めた。
(よかったギリギリ間に合ったな)
彼が安堵したのも束の間、彼は落ち着いた後になってようやく状況を把握した。
彼は受け止めるときに必死で彼女を受け止めようとして素早く体勢を整えたがそれがいけなかった。
彼女は抱きつくような体勢になっており、彼はそんな彼女の体のとある部分をしっかりと掴んでいた。
それはもにゅもにゅと柔らかい感触で男なら絶対に触りたい部分だった。
(これってもしかして…)
「キャア!」
彼女も動揺しているようで顔を真っ赤ににしてあの部分を腕で隠している。
「ご、ごめん」
「い、いえその。今のは仕方なかったし(賢也くんなら別に…)」
「?ごめん、なんていった?」
「い、いえそのなんでもないです!」
彼女に申し訳なさを感じつつも彼女がくっついてくるので気にせず歩いて行った。
駅に着くと彼女は用事があるらしくここで別れることとなった。
「それじゃあここで、賢也くんまた明日」
「う、うん。 梓さんもまた明日」
そうして僕たちはそれぞれの帰路に立って別れた。
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