第6話 それがアイドル!
私が作曲をする!と幸に大見得を切ったものの……
私、本当に作曲なんてしたことない……
でも、悩んでいてもどうしようもないから、今度のレッスンの時、ピアノの先生に聞いてみよう。
んー…だったら、今日はこれから何しよう。今日は特にやることがないからなぁ……
あ、そうだ。古着屋さんを探してみよう。日曜日に幸と見に行こうっていうのに、どこにあるかも分からないなんてことだったら、話にならないから。
えーっと……この辺で古着屋さん……あっ、いくつかはあるみたい。あとは手芸屋さんとかもあるといいかしら。シュシュとかのヘアアクセサリーも作れるし、衣装にはアレンジを加えなきゃいけないから。
そう、高校生アイドルとしてハイドラに出る時には、衣装に関してもいくつか決まりがある。高校生であるから過度の露出は禁止、靴や靴下を除く被服は既製品をそのまま使用せず、アレンジを加えること、など、いくつかの制限がある。
まあ露出に関しては当たり前ではありますね。アイドルであるという以前に高校生なんだから、水着衣装とかはやめておいた方がいい。ハイドラ運営さんは、ルールを守っている出場者に関する痴漢行為・セクハラ発言などに対してはきちんと対応してくれているから、ルールを守らないと。ルールを守らず露出度高めの衣装を着てセクハラされても、運営は先に露出度高い衣装を禁止しているから、自己責任。
えーと、そう、手芸屋さんもあったらいいから、探しておこう。あ、少しはあるみたい。
とりあえず、幸に連絡を……っと。
『幸、日曜日はどうする?集合時間と集合場所、お昼はどうするか。あと、行く場所はこっちでリストアップしておいたから、添付写真を見てね』
メッセージと写真を送ると、私は携帯の電源を切った。
あとは……どうしよう。
本当にやることがないなぁ。本でも読もうかな?それとも授業に備えて、予習でもしておこうかしら。
なんて思っていたら、携帯がブブブっと音を立て振動した。
なんだろう……あ、幸からの返信だ。
『笑夏ー!
あたしは朝からでも大丈夫だよ!行く場所把握です!お昼はその辺りのファミレスで食べればいいんじゃないかな?安いとこ一個くらいはあるでしょ。
場所は……笑夏のお母さんにバレてもあれだし、駅とかにする?どうせ電車に乗らなきゃいけないから、駅待ち合わせなら移動しなくていいと思うよ。
あと、歌詞!一旦作ってみたよー!なんかあったら言ってね!』
というメッセージ。
朝からでも大丈夫なら、9時に集合でいいかも。場所は駅で良さそう。
そして……歌詞。
なんて早いんだろう。私たちが別れて……3時間はまだ経っていないのに。その間に書き上げたのかな?
幸は、好きなことに対する集中力がすごい。普段は面倒くさがりの癖に、自分が好きなこと、やりたいことだと物凄い集中力を見せる。
この送ってくるはやさ、幸らしいと言えば幸らしいかも。というか、幸もアイドル活動にそれだけ真剣になってくれているんだよね。
私も頑張らないと。
そう思いながら、添付されているURLを開くと。
目に映り込んできたのは、たくさんの文字。
幸が、精一杯考えた、私たちだけの歌の歌詞……
言葉はどれも幸らしくて、幸の温かさに溢れていて。歌詞を見ているとなんだか、私は温かな気持ちになった。
お母さんに、気持ちを伝えるための曲。私の……私たちの、本気を伝えるための曲。
素敵なメロディをつけて、私たちを表すような衣装を着て、二人で踊って……
お母さんに、想いを伝えよう。私が本当にやりたいこと、私は本気だということを、歌にのせて。
それがアイドル、だと思うから。
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