サティアのこと


私はあの女が大嫌いだ。


初めて相見えたのは、私の計略をアイツに邪魔された時だ。


我ら魔族は、人間どもの砦を攻めあぐねていた。

我らは幾度か侵攻を行ったが、堅牢な砦に効果的な損害を与える事はできない。

まさに、目の上のタンコブだった。

故に私は、敵の内部から調略を進めた。


内通した領主が、魔族の精鋭を秘密裏に手引きする手筈。

後方の街を破壊し、砦を孤立化させる事が目的だった。


だが私が領主と密会している事を、あの女(何故か男装していた)に見破られた。

計画を暴かれた私は、やむ無く領主に見切りを付けて撤退した。

思えばその時点で、あの女と男(何故か女装していた)だけでも始末しておくべきだった。

ちなみに計略失敗の後から知ったが、あの男装変態女は教会の聖女であったらしい。

あとアイツの隣にいた変態女装野郎は、勇者だった。


分からん。

人間の趣味は分からん。



次に会ったのは、砦を攻略していた時だ。


計略が頓挫した私は、砦を正面から攻める事にした。

今回は確実に落とすために、諸侯と協力し各地から戦力を集中させて攻撃した。


攻撃は順調だった。

人間どもは我らに抗するため、必ず複数の兵士で迎え撃ってくる。

だが今回は逐次戦士を追加して、人間どもの戦力をすり潰していった。

斥候の報告により、王国からの増援軍もしばらく来る事はない。

敵兵の士気は下がり、人間どもの戦線は崩壊しかけている。

万全を期した作戦は、順調に進んでいた。


そんな時に、あの女は勇者と仲間を連れて再び現れたのだ。

ヤツらが来て士気を上げた人間どもは、瞬く間に戦線を押し戻した。

本当に厄介なヤツらだ。

恐らく勇者や聖女特有のスキルか何かが、人間側の兵士に作用していたのかもしれない。


だが勇者の男…アルトは戦場が初めてだったのか、間抜けにも突出してきた。

戦場で慌てる者は殺される。

猪突猛進する、隙だらけの勇者。

そんな男の後ろをカバーしている聖女もまた、背後が疎かになっていた。

私は隙を見逃さなかった。

押し返された我が軍は、砦を落とす事はもはや困難である。

これ以上の侵攻は、無駄に当方の被害を出すのみ。

やむ無く次善の策として、聖職者の女を仕留める事にした。

教会の聖女を殺せば、人間どもには良い見せしめになるだろう。

勇者を絶望させる事も可能だ、そう思って。


私は気配を消して、あの女の背後に回り込んだ。

戦場に出過ぎた、愚か者を狩るのは容易である。

派手に殺れたのなら、尚良し。

結果として我が腕は、鋭利な刃となってヤツの心臓を背後から貫いた。


“殺った”


その瞬間、私は心を満たした。

憎き聖女は盛大に血を撒き散らかし、ビクンビクンと痙攣した。

ヤツが纏う純白の装いは、自らの鮮血で赤く染まる。

”血塗れ”と畏れられる、我が二つ名に相応しい殺し方。

してやったり、そう思った。


しかし、ただ残酷に殺すだけでは物足りない。

あの時の復讐は、この女の死だけでは済まされないのだ。

そうだ!聖女の死体を操り、人間どもに当てれば良い演目になるだろう。

死霊術師あたりに頼めば、容易な筈だ。


私は部下に撤退を指示し、ヤツの死体を手土産に魔都へ駆けた。

私は走り始めて、半日と掛からず魔都に着いた。

明らかに、私の走力は向上していた。

聖女を殺害した事により、我が能力が覚醒したのかと歓喜した。

今思えば、違和感を抱くべきだった。


だがヤツを仕留めた高揚感により、私も冷静さを失っていたらしい。

そのまま我が王へ向けて、戦果の報告する事にした。

聖女の無惨な死体を以て。


しかし、私が王に拝謁した時だ。

あの女は睡眠から目覚めるかの如く、自然に起き上がった。


ヤツはその言い訳に自らを”治癒の専門家”と謳っていたが…

どう考えても人間の所業ではなかった。


私は確実にヤツを殺したのだ。

心の臓を破壊した。

事実、私に抱えられていた時のヤツに生気は無かった。

夥しい量の出血もしていた。

それにも関わらず、ヤツは気取られぬよう移動力強化の魔法を私に掛けていたのだ。

今でも、あの芸当は信じられん。


話を戻す。

我が王に拝謁したヤツの行動は、驚くべきものだった。


魔族と人間どもの和平を願い出たのだ。

無論、我が王が認める筈もないが…


我が王は、ヤツに無理難題を吹っ掛けた。

奥方様の不治の病を治療せよ、と。

失敗は即ち、死。

そうすれば、死霊魔術で操ってやる。


しかしヤツは、奥方様を一瞬で治療した。

ヤツ…変態クソ聖女は人間にも関わらず、我が王の信用を一瞬で勝ち得た。

この変態クソ聖女が、王国と教会を纏められるか甚だ疑問だが…


我が王の決断は絶対。

主は、変態クソ聖女の願いを聞き届けたのだ。

我ら魔族は講和に傾くことになる。

人間を鏖殺するための私の努力は、全て水泡に帰した。

私の腑は、煮えくり帰っていた。

この女に、運び屋としてまんまと利用されたのだ。


私は、計略失敗の件からしばらく功が無かった。

しかしこの一件で、勲功第一を賜った。

砦の攻略も失敗したのに。

理由を聞けば、この変態クソ聖女を連れてきたから、との事だ。

業腹だが、たしかにヤツのお陰で奥方様は全快した。


そして続け様に私は、我が王から命令を賜った。

この変態クソ聖女に付いて行き、王国へ向かえ、と。

魔王様から直々に先触れの任をいただける事は、とても光栄だ。

この変態クソ聖女の側にいるのは最悪だが。


ふふっ…血塗れのサティアも堕ちたものだなぁ(泣)


私は粛々と任務を全うする事にした。


しかし、私の復讐心は燻ったままだ。


いつか何らかの形で、この女に仕返ししてやる。





今私の寝室で、変態クソ聖女が寝ている。

コイツは無様にも、酒に酔い潰れたのだ。


正しくは、部屋に連れ込んで強引に飲ませて酔い潰したのだが。


他の奴らはメシを食わせた後、客間で熟睡しはじめた。

アイツらも疲労が限界だったらしい。

私は持ち前の回復力で、何とか持ち返したが。


ー数十分前ー


「オイ、変態クソ聖女。私の部屋で飲むぞ」


「えぇ…ご飯も済みましたし、もう寝ましょうよ。アルトさん達も既に寝ていますし。それに、飲むと言っても私のお酒じゃないですか」


「うるさい、一宿の礼と思って付き合え」


「んもぅ…仕方ないですねぇ」



酒を酌み交わして少しばかり、コイツの顔が赤くなり始めた。

ふふっ…嫌々言いながらも、酒に関しては付き合いが良いのはコイツの甘い所だな。


しかし今回の変態クソ聖女は、いつもと違って酒盛りを早々に切上げて寝ると言った。

いつもベロベロになるまで飲む筈なのに、コイツは…



さっさと酔わせて犯す筈なのに!

アルト達に許可を貰って、初めて私一人で犯せるのに!


だから私は


「ホラ!酒が好きなんだろう!飲め!飲めよ!」


私は変態クソ聖女…ティアナに無理やり酒瓶を咥えさせた。


「こ、これ以上は勿体無いから!りゃめぇっ…ガボォ…ごぼぉ…んぐっ…」


「はっはっはっ!まだ足りんだろう!ほらほらぁ!」


「ぐぼぉ…おごっ…んぐっ…んっ…んっ…ごっ…ごくんっ…っはぁ……サ、サティアひゃん…そろそろ…ってやめろぉ!アルハラらめぇ!」


「んん?あるはらってなんだぁ?ヴァルハラかぁ?ここがお前のヴァルハラだよ!オラッ!まだ酔いが回っておらんなぁ?オラッ!」


私はティアナの髪を掴み上げて、瓶先をヤツの喉奥に差し込んだ。

多量の濃い酒が、ティアナの体内へ注ぎ込まれる。


「んむぅ!んっ…んっ…んぐぅ!ゴクンッ!…ぷはぁっ…と、とくべちゅなおしゃけがぁ…うっ…ぐぺっ…おぼっ…おっ…んっ…!」


あははっ!最高だ!

まるで野郎のソレを咥えさせている気分だ。


高揚した私は、夢中でティアナに酒を注いだ。


「あはっ…ティアナは可愛いなぁ!この後すぐに犯してやるからなぁ!オラッ!オラッ!……ん?」


「も、もぅ…むりぃ……うぷっ…」


気が付いたらティアナは、白目を剥いて倒れていた。

普通の人間なら、これほど酒を飲めば死に至ってもおかしくはない。

だが、この女に関しては問題なかろう。


「ようやく昏倒したか…酒以外は何の状態異常も効かぬのだから面倒な女だ。ふふふっ…どうしてやったものか…ふふふっ…」


私はティアナを、ベッドの上に横たえた。

衣服を剥いて、丸裸にしてやった。

憎き仇ながら、美しい。

私は同性愛者ではないが、コイツの肉体を見ると価値観が変わりそうだ。

自慰のオカズが、魔王様からコイツに変わる程度には。

というか、何故私の妄想相手が魔王様だとコイツにバレていたんだ。

そのせいで、先刻は脅される羽目になったし。

やはり、許せん。

仕置きが必要だなぁ!


コイツの事は心底気に食わぬ。

だが、肉体に関しては最高の抱き心地だ。

アルト達のティアナ輪姦パーティーに加えてもらってから、彼女の肉体を忘れられない。

私が男だったら、間違いなく種を仕込んでいるだろう。

まぁ、その役割はアルトにくれてやる。


ああ、何とかして同性でもコイツを受胎させる事ができないものか。

検討しても良いかもしれないな。


さて、時間はある。

ゆっくり楽しませてもらおうか。



「おはようございます、サティアさん。よくもまぁ、私の貴重なお酒を湯水の如く飲んでくれましたねぇ?私の懐はカラの酒瓶だらけですよ」


「ん?飲んだのはお前だぞ?」


「私も多少は、付き合いで飲みましたけどね…はぁ…もぅ…仕方ないですねぇ…って、サティアさん、お肌プリプリですね」


「ああ、お陰様でな」


「?まぁいいですけど…はぁ…そういえば、魔都には美味しいお酒はあるんですか?」


「勿論あるぞ。王国の酒よりも濃くて美味い。機会があれば、お前に馳走してやろう」


「もー!私のお酒ストックだいぶ減っちゃったんですからね!頼みますよ?」


「ああ、約束する。だから、また私の部屋で酒を酌み交わそう。変態クソ聖女」


ああ…憎き変態クソ聖女のティアナ。

私はこの女が嫌いだ。


だからいつの日か、私の子を孕ませてやる。

魔法か何かで、私にソレを生やして。

確かそんな便利な秘術が、魔族にはあった気がする。


そうして産ませた子を、お前諸共犯してやるからな。

ティアナから生まれた子供が女だったら孕ませるし、男だったら私が孕んでやる。

孫が出来たら、ソイツも犯す。


魔族は人間より寿命が長い。


ティアナの子孫を犯し、孕み孕ませ続けてやる。


私が死ぬまでだ


あっ、想像しただけで濡れ…


あはは


やつのしきゅうは、わたしだけのものだ

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