ダンジョンクリアと打ち上げ

ヴァニタと第一王子がイチャコラしている間に、既に宝物殿ダンジョンの攻略は佳境に入っていた。

 

ダンジョンの探索当初は、序盤のモンスター相手にアルト君達は手も足も出なかった。

だがここは、経験値と金の稼ぎポイントだ。

一体でもエネミーを倒せれば、それなりに多くの経験値をゲットできる。

まぁ、攻略だけなら弱化の指輪を外して、私の力を解放しても良いけど。

それは本末転倒だ。

 

私は、”か弱い乙女”なのだ。

決して、ゴリラであってはならない。

こないだ咄嗟にスケルトンナイトを、素手でぶん殴ったけど。

それでも私は乙女だ、依然変わりなく。

 

話を戻そう。

私達は、どうやってダンジョンを進めたのか。

答えは単純だ。

 

「敵は分散してから個別に攻撃しろ、古典的だが極めて有効な戦術だ」

 

古のアクションゲームでNPCから受けたアドバイスだ。

 

ダンジョン内部を徘徊しているスケルトンナイト。

今までのモンスターと比べて、耐性の高い奴らに集団で襲われると厄介だ。

初回探索時のように、逃げの一手だろう。

だから一体のスケルトンナイトを誘き寄せて、パーティ全員でボコボコにした。

今回は別だ、五人に勝てる訳がないだろ。

 

私の想定よりも、高難度と化した宝物殿ダンジョン。

それは、逆に捉えれば一体のモブエネミーですら、効率の良い経験値になるということ。

地味なようだが、この”釣り”を繰り返して行く事が攻略の近道になる。

 

サティアはこの作戦を、面倒くさがっていた。

だが、自身の能力の向上を実感して掌を返した。

サティアもなんだかんだで、バトルジャンキーな気質だ。

 

さて、結果的に仲間達の攻撃力や魔法の出力は、飛躍的に上がった。

それと併せて、高レベルなモンスター達にも対処出来るようになってきた。

ダンジョンの攻略も良い感じだ。

 

王国から依頼されたサブクエストの、宝物回収も順調に進んだ。

ちなみに宝物は持ち逃げ出来ない、そういう仕様だから我慢しよう。

おとなしく報酬と引き換えに、王国へ受け渡すのが良い。

どの宝物も効果がない、歴史的価値のあるものばかりだから気にしないけど。

 

以下、回収した宝物の一例

 

斬馬刀ミートディスペア

重圧を溜める鉄壺テファール

ひと夏の思い出

ティファンの香炉

八連大玉真珠

震撼する張形

 

他多数

 

いやいや、改めて思うけど”ひと夏の思い出”って何だ。

王家の宝物ライナップも、大概ネタに尽きないな。

ゲーム開発者の遊び心しか感じない。

どう考えても、使い方がアレなグッズもあったし。

 

ともあれ、目録にあった一通りの宝物は回収できた。

パーティーメンバーのレベリングも十分だろう。

残るは迷宮最深部に到達して、ダンジョンコアを破壊するだけ。

 

ちなみにダンジョンの最深部に、ボスモンスターはいないぞ。

昔、私が単独で抜け出した際に、間違って倒しちゃったからね。

まぁボスの経験値くらい誤差やろ、誤差。

てへぺろ♪

 

 

コアが破壊された宝物殿ダンジョンは、瞬く間に本来の姿を取り戻した。

異界化していた広大な内部も、外観どおりの大きさに収まっていた。

 

「あれだけ道中は苦労したのに…なんだか最後は拍子抜けだったな。結局、秘宝らしきモノは無かったし」

 

最後はあっさり解決できた事に対し、アルト君は退屈そうに、全身を屈伸しながら感想を述べた。

 

「ああ、そうだな。ダンジョンの最奥には、大概は強力な番人がいるものだ。それがもぬけの殻なのだから、あっけないものだ」

 

サティアもボス戦を楽しみにしていたのか、残念そうにしている。

 

「やっと我が国の内憂は解決できた。私は満足だぞ」

 

「もーやだー!浄化魔法やだー!お風呂入りたーい!」

 

エリナはそれなりに満足しているし、アーシャはマイペースだ。

 

「残念ですが回収した財宝の中に、混沌の力を示す物はありませんでした。見た目だけは、渾沌としていましたけど。アレって一体何に使うんでしょうね?」

 

私は素知らぬフリをして、財宝についてコメントした。

お清楚キャラが、無自覚に下ネタに触れるシチュエーションは好きだよ。

 

「アンタばかぁ?それはモロチン、アナr

 

「アーシャ、それ以上はいけない」

 

アーシャは馬鹿だが可愛い。

そして、ド下ネタを口にしようとしたであろう彼女を、エリナが強引に止めた。

たしかに、ヒロインが言う事ではないな!

やっぱりアーシャは馬鹿だなぁ!

 

ちなみに、八連大玉真珠はどう考えてもア○ルビーズだし。

震撼する張形は、まんま電動ディ○ドー(形はナスに近い)です。

今度似たような物を自作して、使ってみようかな、彼女達に。

流石に私の細指だけじゃ、物足りないし可哀想だ。

後ろなら膜がないし、ゴリゴリ使っても大丈夫やろ。

痔になっても、治癒魔法使ったるさかい。

エリナなんか、特に後ろが弱いからね。

じゃけん宿に戻ったら、ドンドン開発しましょうね。

 

おっと、その前に祝勝会か。

皆んなダンジョン探索頑張ったもんな!

 

よっしゃ、今日は飲むぞー!

 

 

ーーーーーー

 

 

ここは王都の宿に併設された、飲食スペース。

そこでは、勇者一行が酒盛りをしていた。

なお、聖女ティアナは早々に泥酔し潰れている。

 

「ねぇ、アルト…アンタさ、酒に酔ったティアナを…抱いてるでしょ」

 

アーシャが衝撃的な問いかけを、アルトに投げかけた。

 

「な、何の事だ?」

 

「誤魔化さなくていいわよ。アタシもエリナも、ティアナを酒に酔わせて犯してるし」

 

「な、なんだって!?それは本当か!?エリナ!」

 

「ああ、そうだ」

 

アルトの確認に、エリナはそっと頷きながら答えた。

 

「やはり、お前達はそんな関係だったのか」

 

酒宴に同席しているサティアは、彼等の肉体関係を何となくは察してはいた。

しかし、面と向かって本人達からその内容を聞くと、ドン引きした。

 

「そうよ、サティア。何なら、アタシとエリナは、シラフのティアナともえっちしてるわ。魔力譲渡だとか、色々理由はあるけど。で、アルト…アンタはティアナと、やってんの?やってないの?」

 

「…した」

 

「よく聞こえないわ。ハッキリ言って」

 

「俺はティアナを抱いた」

 

「へぇ…やっぱり。じゃあ、ティアナは非処女なワケ?」

 

「ああ…泥酔したティアナを初めて抱いた時に、血を見て確認した」

 

「意識の無い聖女の処女を奪うなんて、サイテーよね…アンタ。で、中には出したの?」

 

「ああ、毎回そうしている。俺はティアナの事が好きだ。彼女を孕ませたいと思っている」 

 

「熱烈な告白ね…本人は酔い潰れて、何も知らないみたいだけど」

 

アルトの告白に、アーシャとエリナはやや驚きはした。

しかし彼等の会話は、冷静さを保ちつつ進んだ。

 

「すまない…正直に話すのが、怖かったんだ。だけどこれ以上、隠すのも良くないな。明日の朝にも、ティアナに打ち明けるよ。許してはくれないと思うけど」

 

「………駄目よ、言っちゃ。言わなくていいわよ、ね?エリナ」

 

アーシャはアルトの懺悔を止めた。

 

「そうだな、この会話はここだけにしておこう」

 

エリナもそれに同意している。

 

「えっ!?ど、どういうことだ!?俺はティアナに、酷い事を繰り返していたんだぞ?」

 

アルトは二人の意見を理解できない。

 

「いいのよ…私達の関係は、そのままにしましょう?寧ろ、私達で無意識のティアナを開発しちゃいましょ!あっ、そうだ!サティア、アンタもどう?」

 

「えっ!?うぇえ!?わ、私もか!?」

 

突然話を振られたサティアは、動揺を隠せない。

 

「そうよ。理由は分からないけどアンタ、ティアナを一泡吹かせたいんでしょ?」

 

「あ、ああ…この変態クソ聖女には、いつも煮湯を飲まされてばかりだ。だから、いつかお返ししてやりたいと思っていた。まさか、お前達が妙な所で一致団結するとは思わなかったが」

 

「なら、こうしましょうよ!この四人で、酔ったティアナを弄り倒すの!ふふっ!良いわね!きっと楽しいわ!あっ、そうだわ!!ねぇ、エリナ…アレ、持って来てくれた?」

 

「ああ、勿論だ。この張形と八連真珠だろう?父上に頼んで、王家から借り受けて来た」

 

「そうよ!それ!ティアナが処女じゃないって分かったのなら…前も後ろも、使いたい放題ね!」

 

「お、俺はどうなんだ!俺だけ仲間外れは嫌だぞ!」

 

アルトは慌てて介入した。

美女四人がまぐわうのは、見目が良い。

しかし、そこには自分はいない。

彼は、そのシーンを指を咥えて見ることしか出来ない。

そんな自分を想像して慌てた。

 

「アルトは…その汚いモノをティアナに出し続ければ良いわ」

 

「だ、大丈夫なのか?そんな事を続ければ、いつかティアナが…」

 

「大丈夫なワケないじゃない。最高よね!自覚の無いまま、身籠るのってどんな気持ちなのかしら!しかも、教会の聖女よ!世間的には、処女受胎になるのかしら?あぁ!ボテ腹のティアナを皆んなで、犯したいわね!勿論その時も、無理矢理酔わせるわよ!」

 

「アーシャ…お前って、結構ヤバい人間の女だったんだな…」

 

アーシャの変容ぶりに、サティアは恐怖すら覚えた。

 

「何よ、サティア。アンタだって、コレからその仲間になるのよ?あ、そういえばティアナの体液って魔力が回復するから、接種するのがオススメよ。あら、意外と実用的よね!」

 

「まぁ、このクソ聖女がギャフンと言うなら私は何でもするさ」

 

「サティアもノリが良くて助かるわ。それとアルト…アンタには大事な役割があるわ」

 

「な、なんだよアーシャ…役割って」

 

アルトはアーシャに、何かとんでもない事を任される気がした。

 

「いつか、タイミングを見計らって…シラフのティアナの前でよ…アタシとエリナを犯して頂戴」

 

「なっ!?い、良いのか?エリナ…」

 

「ああ、勿論だ。私とアーシャの処女は、アルトに捧げよう。ただし、それはティアナの前で、だ」

 

どうやら、エリナも同意しているようだ。

既にこの二人は、何かしらを結託しているらしい。

 

「最高よね!私達の初めてが、アルトに奪われるとき…ティアナが、どんな表情をするのか。本っ当に楽しみだわ!その時はティアナに、男装してもらおうかしら!ああ、いけないわ!男装ボテ腹ティアナ…すっごく背徳的ね!あはっ!さっそくティアナを開発しましょう、ねっ!防音魔法は習得したから!何やっても、大丈夫よ!」

 

「ああ、俺…もう我慢できない。早くティアナを…」

 

アルトが辛抱たまらぬ様を、三人に訴えかけた。

 

「いいわね!じゃあ、ティアナを連れて二階の部屋に行きましょう!楽しい二次会の始まりね!」

 

勇者アルト一行の宴は、まだ始まったばかり。

 

なお、魔族の女サティアであるが。

彼等の例に漏れず、ティアナの魅惑的な肢体に溺れる事となる。

以降、ティアナに対する罵倒は変わらないものの、スキンシップが増えた。

ティアナは彼女の好感度が上がっていると思い、素直に喜んだ。

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