聖女ティアナ、勇者を王都へいざなう
私の提案により、秘宝探索のクエストがパーティに追加されたわけだが…
当然ゲームプレイヤーの私は、具体的な秘宝の在処を既に知っている。
秘宝の入手と、儀式そのものは独力で行使可能だ。
寧ろ、今の私なら単独でそれぞれの勢力を襲撃し、奪取した方が手っ取り早い。
しかし、それを即座に回収する事は、私の目的と相反する。
私の目的は、そうじゃあない。
私の仲間たちが…私の愛する人たちが…
彼等が、喪失の絶望感により沈む、素晴らしい表情を見たいだけなのだ。
それはタイムアタックのように、儀式を成しても達成しない。
少しずつ積み上げた、仲間との信頼や友情、そして愛。
それらの積み重ねが、高ければ高い程、絶望の色はより暗く、そして深くなる。
高く積み上げられた、塔のような積み木。
その積み木から、1番下のピースをたった一つ引き抜いて、瞬きの間に崩す時。
私の絶頂はその瞬間、より遥か高みへ昇華されるのだ。
だから違和感なく、勇者達が秘宝を入手出来るように彼等を促す。
ヒントを小出しに与え、アルト君達と秘宝を探りながら。
私は慎重に、彼等に気取られる事なくクエストを進めるのだ。
やり方は面倒だが、回りくどいのは仕方ない。
これも私が、今生における永遠の絶頂を迎える為。
今までも、そして、これからも。
やって行く事は、何ひとつ変わらない。
よっしゃあ!
人生サイコー!毎日盆と正月!
今日も一日、頑張るぞい♪
ーーーーーー
さて、私達パーティの話し合いは続いている。
「まずは、人族に伝わる秘宝を探しましょう。魔族の秘宝は、所在を特定出来たとしても、まだ入手が困難でしょうから」
私は彼等へ、探索に優先順位を設けるようアドバイスした。
「そうだな…戦況が膠着しているとは言え、魔族領に殴り込むのは、自殺行為だ」
アルト君は、私の提案に頷く。
「聖職者兼研究者のティアナは、人族の秘宝に何か心当たりはあるのか?」
ヒントを求めて、エリナが問いかけてきた。
「私が皆さんと合流するより、以前の事ですが…教会関係で思い当たる箇所は、粗方全て捜索しました。教会が保有する神殿の宝物や聖遺物からは、それらしき物は見当たりませんでしたが…」
「その秘宝ってヤツ、アタシ達はどうやって見分けるのよ?秘宝って言っても、姿形がわからなきゃアタシたちだって、どうしようもないじゃない」
アーシャがごもっともな、良い疑問を投げかけた。
アーシャは頭が良いな、後でアメをあげよう。
「秘宝の大きさや形状は不明です」
「ダメじゃん!!」
アーシャはツッコミも上手いな。
後で、アメをあげよう。
「しかし、伝承の記述から、それら秘宝には、特殊な力が込められていると考えられます。伝承が正しければおそらくは、混沌の力…」
「そうか、ティアナは混沌魔法も使えたんだったな!確かに君なら、秘宝を見れば分かるかも…」
アルト君が手を叩いて納得した。
「ええ、別の研究過程で習得したものです。拙い攻撃魔法ですが…自分に適性があったのも、正直言って驚きでした」
「それでも、何か分かるようなヒントが欲しいわ!手当たり次第の総当たりじゃ、時間が掛かり過ぎるし、メンドーよ!」
アーシャは更なる情報を、私にねだる。
もう少しヒントをあげたい所だが。
アーシャはワガママだな、後でアメをあげよう。
「私も、複写した古文書の解読を進めてみます。何が分かればすぐ、皆さんに教えましょう」
しばらく思案していたらしい、エリナが何か言いたそうだ。
「ふぅむ…仮に秘宝が教会由来では無いとすると…あとは我が家、王族所有の宝物庫。あそこに何かあるかもしれない」
「エリナさん、その宝物庫に、私達は入れますか?」
「いや、残念だが無理だろう。いくら私が姫といえども、所詮は妾の娘だ。まず義母である王女が、それを許すまい。彼女は私を毛嫌いしている」
「そうか…なら、別の方法で入るしか…あ、俺たちで忍び込むか?」
アルト君は脳筋だなぁ。
彼にはアメはあげないでおこう。
「それも危険だ。王家の宝物庫は、厳重に管理されている。侵入は許されまい、ネズミ一匹すらな」
エリナの言っている事は、間違いなく事実だ。
今の私達では、宝物事に近づく事すら出来ずに門前払いになる。
「では、ひとまず王都へ向かうのはいかがでしょう?以前、私達に接触してきた、王国の間諜…彼等の動きも気になります。あの依頼、国王様に一度問い質す必要もあるかと存じます」
「そうだな…宝物庫に入れる、何かキッカケが掴めるかもしれない」
アルト君は移動に乗り気だ。
「私は王家に、あまり良い思い出が無いが…久しぶりに世話になった、騎士団の皆にも顔を出したい。私は構わないぞ」
エリナも久々の帰省は、複雑な心境ながらも悪くはないようだ。
「王都!?アタシも行きたいわ!きっとオシャレな服がたくさんあるに違いないわ!」
アーシャは自分の欲望に素直だなぁ。
アーシャには、後でアメをあげよう。
私達の行き先は、王都となった。
街を出る事になった私達に、市民は落胆を隠せなかったようだ。
特に何度もお世話になった、風俗嬢へ個人的に挨拶に行った時は、大泣きされた。
ワンワン泣かれた。
「ユノさん、別に今生の別れじゃないんですから。そんなに泣かないで下さいよ」
「イヤァー!ティアナざまぁー!行かないでぇ!もう一生タダでいいから!それが無理なら連れて行ってぇぇ!ティアナさま専属のタダマンでいいからぁぁぁぁ!」
いやぁ、泣き過ぎでしょ。
私は一介の客に過ぎないのに。
「えぇ…さすがにタダはいけませんよ」
「いやぁ…行かないでぇ…もうティアナさま無しじゃイケないのぉ…ティアナさま…お願いですよぉ…」
「また必ず、戻ってきますから。その時まで、元気でいて下さい」
「グスン…ほ、本当ぉですかぁ?」
「我が神に誓いましょう。必ずこの街に戻ってきます。そして一番最初に、ここに来ます。その時は…今までした事もないような過激で、最高にキモチイイ事をしましょうね…れろっ…れろれろぉ…」
私は彼女の片耳を舐めながら、艶かしく蠱惑に囁いた。
「は…はいぃ…」
彼女は白目を剥きながら、ビクンビクンと痙攣している。
片耳から得られる、異常な快感に耐えられないようだ。
「ではユノさん、しばらくデキませんので…さっそく、ヤリ納めといきましょうか…」
昼間からおっ始める、叡智なプレイは最高だな!
あと、この嬢も、そろそろ限界だな。
私の肉体に、十分過ぎる程に溺れきっている。
依存状態とは、まさにこの事か。
仕上げに、ゆっくりと感じさせてやる。
ゆっくりと浸食してやる。
次に会う時は、どのくらい壊れているか見ものだ。
構わんだろう、相応の対価は既に支払っている。
あー楽しみが増えたなぁ!
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