第5話
「俺が売られた……」
「はい、ですのでこれから神崎様には我々の事務所に来ていただきます。」
「え、いや…でも、そんな……。じょ、冗談なんですよね。」
「いえ、これらのことは全て真実です。」
「が、学校はどうなるんですか!?。俺の友達は……」
「申し訳ありませんが学校の方は自主退学ということになります。友達につきましても全ての縁をならさせていただきます。」
「そんな……」
「心中お察しします。」
「だったら、どうにかしてくださいよ!!。」
「申し訳ありません。これらのことはすでに確定していることでございます。私ではどうすることもできません。」
「もう……結構です。好きにしてください……」
「ではこれより事務所へと向かいます。もし何か必要なものがあれば今のうちに持ってきておいてください。」
「………」
事務所前
「車から降りていただけますか?」
俺は何も言わずに車から降りた。
「では、神崎様にはこれからこの事務所の代表と会っていただきます。これからの貴方様のことについてはそこでお聞きください。」
「……」
「ここから先は案内人に譲りますので私はここで失礼させていただきます。」
俺にこの先なんてあるのだろうか……
俺は一度客間に通された。
「ここでしばらくお待ちがださい。準備が出来次第及びいたします。」
「あぁ、俺の人生もここまでか……。まだ佐久間とやりたいこと色々とあったのにな」
思い返せばこの16年あっという間だった。
学校ではいじめられ家に帰れば殴られ、高校に入って少しはマシになったかと思えば、友達と遊ぶ時間すら作らせてもらえずひたすらにバイトをこなしていく日々。いったい俺はどこから間違っていたというのだろうか。ただもう少しでこの短い人生も終わろうとしているらしい。
もう苦しまなくていいと考えると少しは楽かもしれない。
「神崎様、代表の準備が整いましたのでこちらに着いてきていただいてよろしいでしょうか。」
「……はい。」
案内人さんがびっくりしている。それもそうか。ここまで案内人さんとは一度も話していなかったからな。それにしても長い廊下だな。
「こちらでございます。」
「ありがとう。」
着いてしまってはもう後戻りができないな。腹を括っていくとするか。
俺の新しい家族は…… 錦鯉 @DesertEagle
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