第5話 漸進

 その少女の容貌はとても美しかった。一見すると普通の少女のようだが、ただの能力者とは思えないほどの圧倒的なオーラを放っていた。肩まで伸びた淡い青色の髪、まるで心の奥底を見透かすかのような透き通った赤い瞳、整った顔立ち――これらが彼女の美しさを一層引き立てていた。


「何のつもり…?」

 目の前にいる少女はそう告げた。


「まあ、落ち着けよ」と言って、少女に紅茶を差し出す。ちなみに、ここはいわゆるではない。そして、凛はそのことを察しているからこそ逃げ出そうとしないのだろう。


「僕の名前はろんだ。まず、軽く自己紹介をしようと思う」

 そう言って、僕は学校で陰キャなこと、いじめの対処を裏で行っていることを伝えた。


 自己紹介を終えると、少女はこんな質問をしてきた。

「それで私になんの用ですか?」


 その質問に対して、僕は国だけではなく、神たちも能力者を狙っていることを伝えた上で、こんな提案をした。

「一緒に神達を倒さないか?」


 凛は意外にもあっさりと提案を引き受けた。何かあいつらに恨みでもあったのだろう。


 そして、二人でさっそく作戦を練り始めた。


 一週間、一ヶ月、半年、そのぐらいの年月が経った頃、作戦は完成した。思ったより作戦に時間がかかってしまったのは予定外だが、年内に実行できそうなので大丈夫そうである。


 実行は三日後である。なぜならば、三日後に神達の定期会議があるからだ。


 さあ、始めよう。逆襲を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る