第2話 トモダチと危機

 僕は学校では陰キャ生活を送っている。悪いイメージが湧くかもしれないが、言い訳をさせてほしい。僕だって望んでこうしているわけではない。できることなら色々な人と話をしたいし、遊びたい。でも、僕は人と話すのが怖い。場違いな発言をしたくないのだ。そうして、今に至る。


 そんなことを僕は目の前にいる人に熱弁していた。目の前にいたのは一つ下の学年の葵という人だった。


 こうなった経緯としては、昨日、いつものようにいじめを対処して終え、帰ろうとした時、いじめられていた女子生徒からお礼をさせてほしいと言われた。そして、遅い時間だったので翌日に再び会うことになった。そして、今日、また会い、たわいのない会話をすることになったのだ。


 葵と友達になれて僕はとてもうれしかった。やっと初めての友達ができたのだから。


 しかし、その喜びは一瞬にして無になった。葵と友達になってから2日後、世界中でこんなニュースが流れた。一部の国で突然変異を起こして、「能力」をもつ人間が現れたというのだ。「能力」をもつ人間たちは「能力者」と呼ばれ、噂によると、彼らは自分の能力を悪用し、世の秩序を乱しているらしい。


 僕は最初は単なるデマだと思っていた。しかし、政府が翌日から学校を休みにし、外出を控えるように呼び掛けているのをテレビで見て、僕はそれを信じ始めた。


 授業が終わり、僕は帰宅した。家に帰って自分の部屋に着くと、まるでこの瞬間を待っていたかのように電話が鳴った。こんな手際の良いことができるところなんてひとつしかない。


 電話に出て要件を聞くと、僕は外出する準備を始めた。おそらく翌日からの学校休校もこれに合わせられていたのだろう。


 さあ、出発するか。あいつらのに。

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