第3章 絶縁
バイクの主はAだった。
A 『ここにいたのか。以外と歩くの早いな。探したんだよ。』
私は無視をした。
A 『さっきはごめん…やっぱり辞める事にしたよ。だからさ、後ろに乗れって。』
私 『本当にやってないな?』
A 『うん。誓ってやってないよ。喉乾いてるだろ?』
と言うとドクターペッパーを差し出した。
私 『せんきゅー!そんなヤバい考えはやめろよな!』
A 『わかったよ。』
一先ず安心した私はバイクの後ろに座った。
私 『とりあえず、うちの近所まで戻ろう。』
そう言うとAは笑顔になり任せとけとばかりにバイクを走らせた。
多分俺以外に話せる友達がいないのだろうと、その時感じた。
途中、腹が減ったから沖縄そば屋に寄ろうとAが言った。
私 『悪いけど、そば食べるお金ないんだわ。うちの近所にさ、団地のロータリーあるだろ?そこに200円そばあるから、そこまで我慢しよう!』
と言ったが、俺が奢るからと言い張って聞かない。
A 『さっきのお詫びだよ。行こうよ。』
私 『いいの?この近くは高いよ。』
何でもお姉さんから世話になっている友達に(ご馳走したい)と言って少し多めに小遣い貰ったんだとか。
私 『わかった。だったら、行こう!』
そして恩納村近辺の沖縄そば屋さんに入った。 この辺りは観光ホテルもあり、値段が普通より若干高め設定だ。
私 『だ、大丈夫?』
A 『大丈夫だよ。』
そう言って2人でソーキそばを食べた。
そしてお会計の時…
奴の財布の中身がチラッと見えた。
一万円札が何枚か見えた。
が、人の財布の中身の事まで聞けない…
ましてや、覗き見されたと思われるのも嫌だった。
だが、バイトもしていないAが万札を何枚も持っているはずがない。
いや、でも、持っていたのかもしれない。
何れにせよ、疑う気持ちがある以上やはりコイツとは付き合いが出来ないと…
それから、何度も遊ぼうと誘いがきたが、それとなく断り事実上絶縁した。
あの日あの時、眞栄田岬で楽しそうに海に潜るダイバー達の姿が頭に焼き付いて離れなかた。
考えて見れば、これがダイバーになるきっかけとなったのは間違いなかった…
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