呪いの家
ある小さな村に、一人の老人が住んでいました。
老人は村の外れにある古い家に住んでおり、村の人々からは「呪いの家」として恐れられていました。
老人はいつも一人で、誰とも話さず、村の行事にも参加しませんでした。
ある日、若い旅行者がその村にやってきました。
彼は村の人々から「呪いの家」の話を聞き、興味を持ちました。
旅行者は怖いもの見たさで、その家に行ってみることにしました。
旅行者が家の前に立つと、ドアが軋みながら開き、中から老人が現れました。
老人はにこりと笑って言いました。
「こんな所まで来るなんて珍しいね。中に入ってお茶でもどうだい?」
旅行者は少し警戒しながらも、老人の誘いを受け入れました。
家の中は古びてはいるものの、清潔で居心地が良さそうでした。
老人は旅行者にお茶を出しながら、昔話を始めました。
話が進むうちに、旅行者は不思議なことに気付きました。
老人の話す内容が、まるで彼自身のことを語っているようだったのです。
彼の名前や、生い立ち、さらには最近の旅の出来事まで、老人は全て知っているかのように話しました。
「どうして僕のことを知っているんですか?」
旅行者が尋ねると、老人は静かに笑って言いました。
「君がここに来るのをずっと待っていたんだよ。」
旅行者は恐怖を感じ、急いで家を出ようとしました。
しかし、ドアはびくとも動きません。
パニックになった彼が振り返ると、老人はさらに続けました。
「ここに来る者は、二度と帰ることはできないのさ。」
その瞬間、旅行者は気づきました。
部屋の隅には、彼の写真が飾られており、その下には「旅人ここに眠る」と書かれたプレートが置かれていたのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます