呪いの家

ある小さな村に、一人の老人が住んでいました。


老人は村の外れにある古い家に住んでおり、村の人々からは「呪いの家」として恐れられていました。


老人はいつも一人で、誰とも話さず、村の行事にも参加しませんでした。



ある日、若い旅行者がその村にやってきました。


彼は村の人々から「呪いの家」の話を聞き、興味を持ちました。


旅行者は怖いもの見たさで、その家に行ってみることにしました。


旅行者が家の前に立つと、ドアが軋みながら開き、中から老人が現れました。


老人はにこりと笑って言いました。



「こんな所まで来るなんて珍しいね。中に入ってお茶でもどうだい?」



旅行者は少し警戒しながらも、老人の誘いを受け入れました。


家の中は古びてはいるものの、清潔で居心地が良さそうでした。


老人は旅行者にお茶を出しながら、昔話を始めました。


話が進むうちに、旅行者は不思議なことに気付きました。


老人の話す内容が、まるで彼自身のことを語っているようだったのです。


彼の名前や、生い立ち、さらには最近の旅の出来事まで、老人は全て知っているかのように話しました。


「どうして僕のことを知っているんですか?」


旅行者が尋ねると、老人は静かに笑って言いました。


「君がここに来るのをずっと待っていたんだよ。」


旅行者は恐怖を感じ、急いで家を出ようとしました。


しかし、ドアはびくとも動きません。


パニックになった彼が振り返ると、老人はさらに続けました。


「ここに来る者は、二度と帰ることはできないのさ。」


その瞬間、旅行者は気づきました。


部屋の隅には、彼の写真が飾られており、その下には「旅人ここに眠る」と書かれたプレートが置かれていたのです。

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