第90話 プレゼンは下準備こそが大切です!

ども、坊丸です。


早合、焼酎と消毒用エタノール、改造された投扇興と色々開発しました。


早合は流派によってはもう考えてるみたいだし、焼酎は九州ではもう呑んでるみたいだし、投扇興も文化を大きく変えるもんじゃないだろうし、今回は歴史に影響を与えるほどヤバい開発はしてないと思います。きっと、多分。


仏間で柴田の親父殿が消毒用エタノールを呑んで大声を上げた翌日、清須城に登城した柴田の親父殿、帰宅後に5日後に鉄砲の修練があると報告がありました。夕食の後に、ちょっと酒焼けした声で。


「本日、信長さまにお会いした時にな、5日後に鉄砲の修練を先日の河原でやる旨、お示しいただいた。坊丸、前回は、まだ準備整わずとのことで、参加せずとご連絡申し上げたが、今回はどうする?」


「はっ、早合の工夫もなりましたので、伯父上に此度は、橋本殿の短き火縄銃を持って参加したいとお伝えいただきたく存じます。それと、先日の焼酎を献上いたす所存ですので、鉄砲の修練の後に、城にてお目通りしたいとお伝えの程、お願いいたします。帰蝶様に頼まれたものもございますので、できればその後、奥向きにも出向きたいのですが」


「わかった。殿に伝えおく」


「それと…」


「まだあるのか?」


「はっ、申し訳ありませんが、早合の準備をしてから向かいたく存じますので、橋本一巴殿のお弟子か伯父上のいずれかより5、6発分の火薬を分けでいただきたく。流石に、伯父上の前で作り締めるわけにもいきませんので。それと、持ち込む火縄銃の撃ち手として、鍛冶屋の加藤殿を連れていきたく存じます」


「ん?鍛冶屋の加藤殿か。まぁ、問題ないと思うが…。何故、加藤殿を?」


「私では、いくら短くて取り回しの良い火縄銃とはいえ、うまく撃てるとは思いませぬ。あとは、早合の試射を頼むとすると親父殿か文荷斎殿、そのほかだと吉田次兵衛殿くらいしか思い浮かびませんが…。

親父殿、また鉄砲の試射を行いたいですか?

その場合、鉄砲や早合の取り扱いを鉄砲の修練の日までにに修めていただけねばなりませんし、伯父上の前で何発か鉄砲を撃っていただかねばなりませんが」


「殿の前で鉄砲の腕前を披露するのはやぶさかではないが、ここは儂以外のものにやってもらおう。

うむ、それが良い。そうしよう。文荷斎や次兵衛でもいいではないのか?」


柴田の親父殿、鉄砲の取り扱いを勉強するのがめんどくさいんでしょう?そういうと思ったから、第一候補から外してあげたんですよ。


「文荷斎殿や次兵衛殿は、お役目やお仕事がありますでしょう?加藤殿であれば、手当として銭や米を支払えば、鍛冶の仕事を休んで、こちらを手伝ってもらえるかと。

しかも、長良川の戦いで怪我をする前は斎藤道三殿に仕える武士だったので、伯父上の前でも最低限の礼儀作法は問題ないかと」


「ほう、坊丸にしては考えておるではないか。そういう理由ならば、加藤殿に頼むがよかろう」


柴田の親父殿、『坊丸にしては』は余計ですよぉ!

それに柴田の親父殿に説明した以外の理由もあるんだけど、まぁ、それは伯父上の前で説明するからいいよね。


で、翌日、文荷斎さんと一緒に加藤さんを訪問してもらい、加藤さんに早合の試射の射撃手として参加してほしい旨、お願いに行きました。


加藤さんのお宅に伺う道中、加藤さんに断られたら、火縄銃の撃ち手を文荷斎さんにやってもらいたいって、いい笑顔で頼んだからでしょうか?


文荷斎さん、ものすごく熱心に加藤さんを説得してくれましたよ。

いやぁ、有り難いことです。


って、文荷斎さんも柴田の親父殿と一緒で鉄砲と早合の使い方を勉強したくないのかよ。


さらに、その翌日から、清州城から10発分の弾丸と火薬が届いたものを使って、加藤さんと鉄砲の使い方の練習と早合の試作&実際に数発の試射を行いましたよ。


加藤さんの早合の作り方が、もの凄くスムーズで上手かったので、不思議に思って聞いてみたら、先日、石田村でいろいろ作った日の帰り道、酔っぱらった福島さんを家に送って行った時に、早合の話を延々聞かされたそうでした。


なんと、福島さんの酒癖の悪さが、こんなところでいい結果を生むとは!


まさに、禍福は糾える縄の如し、人間万事塞翁が馬ってやつですか?ちょっと違いますか?そうですか。


しかも、火縄銃の扱いを覚える合間に、投扇興の箱や的に絵を仕上げてくれる加藤さん。良い人過ぎです。

ついでに、絵に色をつけてって言ったら、それは無理と拒否されました。

この時代の色絵具は、岩絵具ともいって、本格的な絵師しか持ってないかなり高価なものらしいです。知らんかった。


そんなこんなで、鉄砲の修練の日までの数日は伯父上に会うための準備で過ぎていきました。


で、投扇興の物品の献上も同日に行うことが判明したので、中村文荷斎さんも一緒に、清須城に向かうことに。

柴田の親父殿、自分、中村文荷斎さん、刀鍛冶の加藤さんと四名で、鉄砲の修練に向かいます。


千歯扱きを解体したものも持っていくことにしているので、荷車に積んでと、なかなかの大荷物。


柴田の親父殿は、何をそんなに持っていくんだと訝しんでいますが、献上品ということで、納得もらっています。

よし、信長伯父さんの待つ清須まで行ってきますか。


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