第81話 四姫そろい踏み、です!

ども、坊丸です。


接待モードでの的当て、こんなに気を使うものとは思いませんでした。子供の遊びなのにな。

サクッと時間線の調整に巻き込まれて死んだから、社会人の期間短くて、俗にいう接待ゴルフとかやったことなかったからなぁ。

接待モードでのゲームがこんなに気を使うものだと知りませんでしたよ、本当に。

でも、奇妙丸様と二人で的当てしていたら、お市の方様が的当てやりたいって言いだすとはなぁ…。



「それ、わたしもやってみとうございます。いいでしょ、奇妙、坊丸」


って、お市様がいうなら、問題なしです。交代しますから、お市様にもやってもらいましょう。

そして、坊丸は競技者から観戦者にクラスチェンジでお願いします。


「お姉さま方、一緒に如何ですか?お犬姉さまと私の組と帰蝶様、吉乃殿の組でやりませんか?」


「ふふ、良いですよ、お市様。吉乃殿、一緒に頑張りましょう。お犬様・お市様を叩きのめして差し上げましょう」


「では、我々も頑張りましょうか、お市」


「はい、姉さま」


ん?吉乃殿の意思表明が出る前に、なし崩し的に四人でやるようになった気がしますが、まぁ、いいか。

ということで、帰蝶様・吉乃様組、お犬様・お市様組で的当てをやることに。

今まで、奇妙丸様と自分がいた位置に四人が並びます。


鼻筋すっきりで、凛としたクールビューティな感じの帰蝶様は、白から緑のグラデーションの小袖に、蒼をベースに金糸銀糸で蝶の刺繍が入った打掛。


丸顔系で、かわいい感じ、やや垂れ目で、右目の目尻に泣きぼくろがあるのが印象的な吉乃殿は、黄色の小袖に無地の橙の打掛。


織田家らしい細面、お市様よりはやや面長だけど、鰓が僅かにはり、目が大きめなので、織田家の中ではやや濃いめの顔立に見えるお犬の方様は、白の小袖に、青の朝顔があしらわれた薄紫の小袖。

眉目秀麗、細面に切れ長な目、長いまつげ、透き通るような肌。織田家らしいお顔立ちの完成形の美形とでもいいましょうか。お市様は橙の小袖に、芙蓉をあしらった桃色の小袖。


姉妹なので、お犬の方様とお市の方様は雰囲気がそこそこ似てますが、四人が四人とも、違った感じの美人さんです。

うんうん、四人並んでる姿は、眼福やぁねぇ~。


一人二回投げて、全員キレイに命中。

ですよねぇ~。大人だと、そうなりますよねぇ~。


はぁい、投げてる当人たちは楽しいみたいですが、女中さんと奇妙丸は、どんどん興味をなくしてますよぉ。

四人は、上手く当たるので楽しそうですが、レベルの低いところで良い結果を出しているだけですからねぇ。


よし、ここらへんで、ルールの変更を提案してみよう。

パチパチパチ。拍手をしてから、四人に声をかけます。


「さすがは、おば…」


な、なんだ、四人に伯母、叔母上って呼び掛けようとしたら、四人からものすごい圧が。

な、なんて、プレッシャーだ!

四人とも笑顔なのに、目が笑っていない!

血縁上のた、正しい呼び方をしようとしているだけなのに、こ、このままでは、呼吸が苦しくなる!

こ、このまま、オバサンやオバウエと呼んではいけない気がする。


「き、帰蝶様、吉乃様、お犬様、お市様」


「どうしました、坊丸殿?」


帰蝶様の返事の後から、急激にプレッシャーが減りましたよ。

やはり、女性は血縁上の正しい呼称であってもオバサンなどと呼ばれたくないのか…。


「四名様とも、大変お上手でございます。ただ、このままでは、勝敗がつかないかと、愚考致します。そこで、坊丸から提案なのですが、的をもう少しばかり離すか、投げるものを変えては如何でしょうか?」


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