第77話 火縄銃って撃った後、めっちゃ熱いのかよ!

ども、坊丸です。

拳銃サイズの火縄銃ですが、信長伯父さんが試し撃ちしました。

予想通り、命中率は、通常の火縄銃に比較して良くないらしいです。

肩衣姿でのワンハンドシュートの信長伯父さん、格好良かったです。


そして、的に正対して両手撃ちでって、言ったら、信長伯父さんと柴田の親父殿が、なんか残念な子を見る感じになりました。またしても、なにかやらかしてしまったらしい…。


「まぁ、良い、坊丸。ま、わざわざ、自分から的を増やすような姿勢をとらない方が良い、と言うことだ。それと、坊丸、この短い火縄銃は、返すぞ」


と、信長伯父さんが言うと、火縄を外してから布で火皿や銃身の内部の火薬を軽く拭き取り、こちらに投げて寄越しました。


返してくれるんですね、良かった!

って、火薬や弾が入ってないからって銃器を放り投げるのは良くないと思う!

地面に落ちて、金具とか歪んだりすると嫌だから、頑張って空中でキャッチ!


「ウオッ、熱っつう」


銃身の近くを持った方の左手に熱が!火傷すっぞ、これ!


「ふっ、大丈夫か?坊丸。撃った後の銃はたいがい熱を持っているから気を付けろよ」


って、ニヤニヤ笑ってるじゃないですか!信長伯父さん!

これ、絶対わかっていてやったヤツだ!


そういえば、火縄銃のお手入れのときは、信長伯父さんは、両手に布を巻き付けるようにしてクリーニングしていたよ!

あれは、そういうことだったのかぁ!


「坊丸、銃身が熱いなら、砂でも被せておけ。あと、銃の手入れについては、一巴の弟子にでも、聞いておくが良い。あぁ、そうだ、勝家、弾と火薬を手に入れる伝手はあるのか?」


「いえ、今のところ、ございません。願わくは、殿や橋本殿の弟子の方々から分けていただきたく」


「私からも、それで、お願いいたしたく存じます。試し撃ちの時には、伯父上の火縄銃の修練の際に、御一緒させていただければ、ありがたく存じます」


と、柴田の親父殿の意見に同調しつつ、この火縄銃を使うときは伯父上の目の前だけだよ!謀反とかには使わないよ!とさりげなくアピール。


「で、あるか。儂の見ている前でしか撃たぬ、と言うことだな。

だが、早合を試す、改良するには、実際に詰めてみる必要があるだろうしな。

四、五発分の火薬と弾は、預けおく」


正直、試し撃ちの場面のみの現場支給でも仕方ないと思っていたので、ありがたいっすね。


「はっ」


「ありがたき幸せ」


「鉄砲の大部隊を作るには、火薬ももっと必要だな…。

それにしても、その短い火縄銃は、あまり当たらぬのに、なにゆえ作ったのかのぉ。

筒が短いから、カルカで押し込むのは楽で良かったがな。利点はそれくらいじゃな」


と、短い火縄銃について信長伯父さんの評価は低め。

まぁ、そうなるよね。


「畏れながら。私が推察するに、南蛮人が狭い場所や船の上で使う為に、取り回しの良い短い銃身の火縄銃を作ったのではないでしょうか?」


と、予想を述べてみました。


「狭い場所、船内での護身用か…。ならば、それほど遠くの的は狙わぬであろうから、ありえるかもな。

ま、15間離れただけで、命中精度が悪くなるようでは、戦では使えんな」


「伯父上のおっしゃる通りと、存じます」


ここは話を合わせておくのが正解でしょ。きっと、多分。


そんな感じで話していると、奥向き御殿の方から、濃姫こと帰蝶様と生駒殿、侍女に抱えられた奇妙丸様がやって来ました。


「鉄砲の音が城内ですると思い、来てみれば、勝家殿と坊丸殿では、ありませんか。

先日は、美味しいものをありがとうございました。

ところで、旦那様、奇妙丸が夜泣きするゆえ、城内で鉄砲の修練は困ります、と以前申し上げたと思いましたが?」


「おお、帰蝶。それについてはだな、坊丸が、橋本一巴から形見としてもらったという、そこにある短い火縄銃を儂に見せに来てくれたのだ。

で、一巴の書状を読んだり、思い出話をしているうちに、せっかくだから、試し撃ちをしよう、ということになってな。すまん、許せ」


と言って、ちらっと、こちらを信長伯父さんが見た後、自分の手元にある短い火縄銃を指さしました。


む、これは、話を合わせろって、視線で訴えてきたんでしょうか?

むう、自分が悪役になるストーリー展開にのるしかないのかぁ…。


「はい、御方様、橋本一巴殿から形見分けのような形で、この火縄銃をいただいたのですが、柴田の親父殿の屋敷には火薬も弾もなく、それで、伯父上にご相談申し上げました。

さいわい、伯父上は快く聞き入れてくださり、急なお願いにもかかわらず、先ほど、数発の試し撃ちを見せていただいたところでございます」


って、これで良いっすか?信長の伯父さまぁ?


短い火縄銃を捧げ持つようにしながら、帰蝶様に向かって、申し上げ、そのあと、チラッと信長伯父さんのほうを見ました。


あ、信長伯父さん、いい感じに頷いてらっしゃるので、どうやら正解だったぽいです。


「おや、甥っ子の頼みは、素直に聞いて、私のお願いは、聞いてくださらぬのかえ?」


「ま、今回は特別だな。今後は、儂が河原にて火縄銃の修練をする日取りを少し前に教えるようにいたす。

参加の希望があるときは、返事いたせ。良いな、勝家、坊丸。

まぁ、早合や鉄砲の改良の報告を兼ねるようにいたす故、参加を当方より断ることはないのだがな」


「はっ、伯父上にはご配慮いただき、ありがとうございます」


「こうすれば、城内で鉄砲を急に試し撃ちをすることもあるまい。これで良いか、帰蝶」


「ご了解いたしました。殿には今後ともご配慮宜しくお願いいたします。勝家殿、坊丸殿、それでは、失礼します。あ、そうそう、また、何か、美味しいものでもできれば、我らにも振る舞ってくださいね」


帰蝶様が頭を下げたのに会わせて、吉乃殿、奇妙丸様をつれた侍女の人も頭を下げました。

ちなみに、のちに元服して信忠様になる奇妙丸君は、なぜか、ナイス笑顔で手をぶんぶん振ってます。


柴田の親父殿と仲がいいのか?それとも、自分に向かってか?

以前の饗応の時に会っただけし、自分に向けてってことはないよねぇ。


「これ、奇妙丸。もどりますよ」


「はい、母上、かか様」


と口では素直に答えつつ、戻りたくなさそうにしています。


「坊丸、奇妙丸はな、先日の饗応以来、お主に会いたいと何度か申しておったのだ。橋本一巴の弟子を呼んで、勝家に火縄銃の準備や片づけ方を指南させておく。その間、奇妙の相手でもしてくれぬか」


えぇ、悪役にした後は、子守りをしろっていうんですか!信長の伯父上様ぁ!

って、自分も子供か!


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