第33話 火縄銃の試射、伯父上が撃つのを見たよ!
どうも、坊丸です。今日は信長伯父さんと橋本一巴殿の鉄砲の訓練を見せてもらっています。
「パァァァァァァァン!」
橋本一巴殿が撃った弾が腹当を着させた太めの巻き藁に当たった様子である。
伯父上の小姓衆の佐脇殿が命中の確認に走っていく。
「一巴様、ご命中!腹当の中央やや左に命中でございます」
その声を聞いて、橋本一巴殿が、伯父上に一礼した様子です。
その後、従者の人か、箪笥みたいなものを受け取り、そこから火薬入れらしいものと弾丸から出した。銃の先端を立てて、銃口に火薬入れをあて、火薬を振り出して入れたあと、弾を込めた様です。銃の下から長い棒を取り出して、銃口から差し込み、火薬と弾丸を押し固める様子です。その後は、先程と同様に火皿に火薬を盛り、火挟みに火をつけた火縄を挟み、照準をつけ始めました。
しかし、火縄銃って先込め銃だから、どうしても手順が多くなるよね。
「パァァァァン」
二射目も巻き藁に綺麗に当たりました。
さすが、橋本一巴殿、伯父上の鉄砲の師匠です。
今度は、小姓の長谷川殿が命中確認に走っていきました。
「ご命中、腹巻の中央に命中でございます」
「で、あるか。さすが、師匠!次は儂じゃ」
その声を聴いて、小姓の岩室長門殿と山口飛騨殿が火縄銃の準備を完成させ、伯父上に渡しています。
その銃の火縄を振りながら移動し、先ほど橋本一巴殿がいたあたりまでいったあたりで、手早く火縄を樋廻に挟みました。すぐに火蓋を切ると、照準を手早くつけて、引き金をひいたご様子。
全体的に、あっという間に射撃した感じですが、大丈夫ですか?伯父上様?
「パァァァン!」
発射音とともに巻き藁人形の左上、端のあたりが吹き飛びました。
お、伯父上、あんな短時間の照準でもきちんと当てました。流石、織田信長です。
小姓の佐脇殿が命中確認に走っていきます。
「ご命中!殿!巻き藁の左にご命中でございます」
「ちっ!」
伯父上がめっちゃ舌打ちしたんですけどぉ~!橋本一巴殿に比べると中央付近に着弾していないけどさぁ~、そのせいで機嫌悪くなっているんですけどぉ~!って、自分の照準が甘かったせいですよね!
「次!」
いや、次って言っても、火縄銃は先込め銃だから、準備に時間がかかるんですよ、伯父上。
って、別の火縄銃の火皿にもう火薬盛ってるんですけど!岩室さんたち!
信長伯父さんが短気なのよくよくご存じで、撃ったら即、次の火縄銃の準備始めたんですか?ですよね?
じゃなきゃそのスピードありえないもんね。
岩室さんたち小姓の方々は、手早く火縄の準備もして、火蓋を閉じ、伯父上のところに次の火縄銃を持っていきます。
撃ち終わった火縄銃を岩室殿に渡して、新しい火縄銃を受け取った伯父上は、火縄を手早く火ばさみに挟むと、即、火蓋を切り、照準を付けます。今度は、すこし照準を付ける時間長めですね。
あ、岩室殿と山口殿が伯父上から受け取った火縄銃の清掃と次弾の装填を開始していましたよ。やっぱり、次を撃つ前から準備してたんだね。うんうん。
って、装填の様子を見ていたら、いつもの発射音が!
「パァァァァァン!」乾いた発射音とともに、今度は巻き藁人形の腹の部分、腹当の真ん中付近に着弾した様子。ま、撃った瞬間は見ていませんが。
小姓の長谷川殿が命中確認に走ります。
「ご命中!殿!巻き藁の腹の部分にご命中にございます!」
「であるか!」伯父上の左口角がすこしあがったので、すこしうれしかったご様子。やはり、ど真ん中に命中すると気持ちいいよね!
「どうだ、一巴、今度は真ん中ぞ!」
「殿、お上手にございます」
「で、あるか。では、次の鉄砲の準備をいたせ!」
「はっ、すでに準備をしておりますれば、少しお待ちを」
と言いつつ、岩室殿と山口殿はせかされなくて済みそうなのでほっとしたご様子。まぁ、ほぼ、準備終わっている感じですがね。
「殿、準備できましてございます!」
今度は山口殿が準備した火縄銃を伯父上に捧げるように手渡し、撃ち終わった火縄銃を受け取ります。新しい火縄銃を受け取った伯父上は、火縄を手早く火ばさみに挟むと、即、火蓋を切り、照準を付けます。今度も、すこし照準を付ける時間は長めですね。やっぱり照準をしっかりつけないとだめだよね。
一瞬、風が弱くなった瞬間に、伯父上が引き金を引き、伯父上の顔の近くに白煙が上がりました。
「パァァァァァン!」
巻き藁人形の左胸のあたりに命中し、着せていた腹当の左肩につながる部分が破損、腹当の左側がずり落ちる感じになっています。
佐脇殿が命中確認に走り、叫びます
「ご命中!殿!巻き藁の左胸にご命中でございます」
ま、今回は、巻き藁に着せた腹当の壊れ具合で、確認しなくてもわかりそうですが。
「む、で、あるか…」
伯父上、微妙にご納得がいっていない様子。結構いいところに当たった感じですがね。
伯父上が陣幕まで戻り、撃ち終わった火縄銃を岩室さんに渡しました。
「どうじゃ、一巴」
あ、橋本一巴殿による講評タイムですか?
「は、しからば、恐れながら申し上げます。殿、一射目は急きすぎでござります。いつも、前目当、先目当を使って、しっかり狙ってくだされ、と申し上げているではないですか。また、風を読むのも大切ですぞ。二射目はお見事!しかと狙い、風の少ない時に引金をしぼれておりました。ど真ん中でございますれば、文句のつけようもございません。三射目も、しっかり狙い、風も弱いときでしたので、それがしもど真ん中にいったかと思いましたが…。一射目と三射目は同じ火縄銃を使っておりますれば、筒の癖で左に寄るのやも知れませぬな」
「で、あるか。筒の癖か…。同じ火縄銃で何度も撃たねばわからんな。いつもいくつか使っておるから、わからんかったぞ」
「はっ、殿は5丁程お持ちですので、なかなか一つ一つの癖までは覚えきれないかと」
いやいや、丸い弾丸は、回転と空気抵抗で変化率高いでしょ、椎の実型より。
ライフリングが入った筒で椎の実弾丸を射つ場合と違い、野球の変化球並みに変化するんじゃないすか?
二発とも左に行ったのは、筒の癖もあるかもしれないけど、偶然じゃないすか?
「そうだ、勝家、一度、射ってみるか?」
なんか、伯父上がいたずらっ子のような笑顔で、柴田の親父殿に試射を勧めてきましたよ!
大丈夫かなぁ?
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ここまで読んでくださりありがとうございます。
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