第23話 麦芽水飴を昔?作ったことあってよかったよ!

ども、津田坊丸です。


さてどうしたものか…。


信長伯父さんへの饗応、さすがにマヨネーズあえ一品、なめろうとさんが焼き、鯵つみれの潮汁のこの一汁三菜だけで戦うわけにはいかないなぁと思い、何かいい案がないか、思案に暮れています。




なめろうでご飯ものと言えば、孫茶だよね。


なめろうに熱々の出汁をかけた出汁茶漬けみたいなものだったはず。だとすると、鯵つみれの潮汁のあら汁とは別に出汁が必要だからね、昆布出汁と鰹出汁をとらないと。




と、思って、合わせ出汁を作ってって頼んだら、そんなことするのか驚かれました。なんつうか、昆布出汁は昆布出汁、鰹出汁は鰹出汁って別々で使うのが普通だと料理番のおばちゃんから言われましたよ。




マジかよ!出汁は、合わせ出汁が基本の現代人と感覚が違いすぎてビックリです。




「とりあえず、昆布出汁と鰹節をゆっくり煮出してください」




「本当は別々に出汁を取って別々に使うものなんだけどねぇ」


まだ文句いってますよ。




「お、ほんのり黄色に色づいてきましたよ。ここで、火を止めて、昆布と鰹節を出してください」




「あいよ」




「じゃ、味見しましょうか」




「それを待ってたよ」




「旨~い」




「確かに旨いね。昆布出汁だけ、鰹出汁だけよりも深みがあって複雑な旨味だね。これで味噌汁作りたいね、良いかい」




「じゃ、今日は合わせ出汁で味噌汁お願いします!」




うーん、そうだ、この出汁をとった後の昆布と鰹節も何かに使えないかなぁ…


なんか考えておこう。




マヨネーズ和えのサラダ、なめろうとさんが焼き、鴨の味噌漬け、孫茶と鯵つみれの潮汁でプチコースみたいにできているかなぁ。


後は、スイーツだよね。鯵フライとタルタルソースもトライしたいけど…




良し、麦芽水飴、試してみますか!


昔、小学校の宿泊学習でやったのを思い出すぜ、俺!




確かあの時は、発芽した乾燥麦芽ともち米のおかゆで作ったんだよね。


あの時は、朝ごはんの後に、もち米のおかゆを作って、午後3時ごろに絞って、煮詰めて、自分たちで作った水あめを駄菓子のミルクせんべいに塗って食べたんだよね。自作のおやつとしてみんなで食べた記憶があるよ。




って、絶対、戦国時代じゃ乾燥麦芽なんて手に入らないよね…


たしか、発芽させて、乾燥させたやつっていってたから、よし、自作しましょう、乾燥麦芽!


って、そこから作るのかぁ…間に合うかなぁ…、ま、間に合わなかったら、お千ちゃんとお妙さんと食べればいいよね。料理番のおばちゃんに渡せば、料理の甘みや照りに使えるだろうし!


ダメもとで、行ってみよぉ!




で、料理番のおばちゃんに無理を言ってゲットしました、大麦の種。麦茶用に少し貯蔵してあるのを分けてもらったんですよ。でも、大麦を発芽させるって言ったら、呆れられました。また、坊丸様がまた不思議な事始めたってつぶやいているのを、聞き逃しませんでしたが、当然ここはスルーで。


発芽させるなら、今日一日は水につけておくよう、指導されました。そのあと種まきするんだそうです。ははは、口に入るものだから、土に植える気はないのだが。水耕栽培っぽくして、発芽させたら、即乾燥ですよ、この大麦。




水耕栽培っぽくっていっても、水槽などあるわけじゃないし、発芽すればOKだからね、そちらの準備も並行して始めます。おばちゃんにざるを一つ借りました。そこに、ぼろ布を引いて、


更にその上に和紙をのせて水耕栽培です。さすがに、ぼろ布に直おきはしたくないですからね。


あ、和紙は、柴田の親父殿に事情を説明してもらいました。キレイなやつをね。




で、翌日、水を吸わせた大麦を和紙とぼろ布を引いたざるの上にのせて、水をかけていきます。後は、発芽待ちだね。




毎日、縁側に置いて太陽に当ててます。干からびないように1日数回湿らせてますよ。


さすがにつきっきりというわけにもいかず、手習いや理介達と遊んでいる時は、お妙さんやお千ちゃんに、見てもらってます。




当然自分でも見に行きますが、理介たちは、農民の真似事をしてと馬鹿にしくさります。


くっそぉ~。こちとら、信長伯父さんの饗応役の為に知恵絞っとんじゃ~!と叫びたいですが、ここはグッと我慢です。


でも、麦芽水飴は、理介たちには、絶対に、一口もあげないと、心に誓いました。


大人気ない?はっはっは。体は子供、頭脳は大人、でも、心の奥底は少年のようにフレッシュなのだよ!




ちなみに、数日で大麦は、順調に発根、発芽。今のところ順調です。でも、作り直しとかの時間はないので、発芽し始めたこいつらでぶっつけ本番ですな。ポリポリ。


隣に置いてある、切り干し大根の作りかけのやつ、つまんでますがね。この切り干し大根もなんか使えないかなぁ…


そういえば、沢庵漬けって無いのかな。丸干し大根のぬか漬けだから、簡単に作れそうだけど…


ん、沢庵漬けを作った沢庵和尚って、徳川家光に文句いって山形の方に流刑になった人だから、まだまだ先の時代の人かぁ…




よし、料理番のおばちゃんに頼んで切り干し大根大根のとなりで、丸干し大根を作ってもらおう。10本くらい。でも、信長伯父さんの饗応には間に合わないよなぁ…




はい、発芽して2日、少し大きくなったので、あとは乾燥です。正直、ギリギリ間に合うかなって感じ。




なんとか麦芽水飴は、できるとして、どんなスイーツ作るかだよね…


水飴を砂糖の代わりとするとして、牛乳やバターが無いから、洋菓子は厳しいよね…


和菓子って言っても何が作れるかなぁ、水飴できてから小豆を炊いてる時間はなさそうだしなぁ…




等と考えながら過ごしていると、後、3日で信長伯父さんの饗応の予定になりました。


そんな様子を見かねて、柴田の親父殿の姉妹、吉田次兵衛さんに嫁いだお姉さんから、お餅をいただきました。後、佐久間盛次さんに嫁いだお姉さんから、色んな野菜の酢漬けをいただきました。


なんつか、気をつかっていただいて申し訳ない。




その日の夕餉に、味噌をつけて焼いたお餅と酢漬けの野菜を刻んだものを絡めたお餅、きなこ餅がでました。


美味しいよね、色んなお餅。味噌の焼き餅は、まるで主食。酢漬けの野菜を刻んだものを絡めたお餅はおかず。きなこ餅はスイーツですね。


特に酢漬けの野菜、らっきょうの酢漬けを刻んだものを絡めたお餅は、現代でも食べたことなかったけどね。でも、刻みらっきょうのシャリっと、ハリッとした食感とお餅の食感が楽し美味しい感じ。


焼き餅ときなこ餅は、現代でも定番だよね、ウンウン。




はっ、きなこ餅に、水飴かければ、もっとスイーツ感出るかも。なんつうか、桔梗屋の信玄餅的な感じ?


あ、まだ、武田晴信って出家してないか?


万が一、武田晴信が出家して武田信玄になっていても、お菓子の名前にはなってないか…


とりあえず、信長伯父さんの饗応のスイーツは、信玄餅のパチもんでいってみるか…




そんな感じで、いろいろ考えながら餅を食べていると、勝家の親父殿は、ものすごい勢いで餅を食べてました。なんつうか、婆上様があきれた感じで、親父殿を見ているのが微笑ましいです。




よし、明日は、水飴作り本番だ!


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ここまで読んでくださりありがとうございます。




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