第258話

 第1使徒 ダニエーレ・デ・ランキ

 第2使徒 オスカル・マリア・ビエボリ

 第3使徒 リッキー・ルイジ・ヒル

 第4使徒 セルジオ・デ・フリーア

 第5使徒 ルカ・ヴィットリオ・ナポリーターノ

 第6使徒 ロマーノ・デ・ブッチ

 第7使徒 ヴィスコ・ロッシ・パリッシ

 第8使徒 ロモロ・アウレリオ・ズラタノフ

 第9使徒 田中 健児

 第10使徒 ポール・ロ・カノッサ

 第11使徒 アンナ・マルゲリータ・ソルベ

 第12使徒 ジョヴァンニ・デ・チェルヴィ

 第13使徒 イヴァン・ダッラ・レオ


 以上が、このヴェルネスト聖国が誇る13使徒……らしい。

 別に俺が暗記しているとか言うわけではなく、例の数世代は前のデザインセンスのWebページに顔写真付きで載っていたので、一応プリントアウトしておいたんだ。

 因みに、あのロン毛は第13使徒で、基本的に個人相手の粛清を担当していたらしい。

 個人の背信者や、使徒に任ぜられながら逃げ出した者などを暗殺することが多かったらしい。

 その辺りも、Webページに書いてあった。

 馬鹿かなって思った。


 その紹介の仕方も、昔のゲームの説明書にあったキャラ紹介みたいな感じで、非常にチープだったんだよなぁ。

 なんていうか、フルプライスのゲームっていうより、廉価版とかベスト版なんて呼ばれてたタイプのゲームに付いてたペラペラの説明書っぽかった。


 それはそれとして……。


「ロン毛は良いとして、11人しかいないじゃん。何が13使徒だよ」

「ロン毛……イヴァンの事かな?やはり彼は、キミに返り討ちにあっていたようだね」

「まあね。あと、田中ってやつは誰だ?てっきりイガグリみたいな頭の日本人が混ざっているのかと思っていたのに、全く見当たらん。それに、紅一点のアンナって人もいないじゃん」

「田中は、キミ達の国で人妖とやらになって駆除されたそうだよ。そして、その代理としてこのファウストがいる!」


 ロン毛ほどではないけれど、コイツはコイツでカラフルで長めの髪だなぁ。

 ってか、全員髪の色がカラフルで、ホストみたいな髪型している。

 顔はイケメン。

 女は居ない。

 だからホストクラブっぽさがすごい。

 もしくは乙女ゲー。


「アンナって人は?」

「彼女は、教皇様の指示に反抗して、粛清対象たちを逃がしていたからね。それが判明したから、数日前から地下の反省部屋に隔離しているんだ。右半分の顔を焼いてからね」

「だから俺は反対したんだ!女を使徒に入れるなどトラブルのものだと!」

「アンナより強い候補者がいなかったのだから仕方がないと結論は着いているだろ?」

「お前達がそう言って議論を打ち切っているだけじゃねぇか!」

「……そうか」


 ふむふむ。


 とりあえず、この大聖堂の地下には、地下牢のようなものがあるらしいな。

 そこに隔離されている人たちがいるってことか。

 そして、Webページの更新速度もクソ遅いのもわかった。

 専門家、もしくはWebページを常時管理しているような者もいないらしい。

 田中、いつの間にか死んでたのか……。


 使徒の中にも、やっぱり教会のやってることがおかしいという自覚がある者も居たようだ。

 だけれど、いくら仲間でも、粛清対象を逃がしていたら顔を焼いて隔離するなんて事をするのか。

 なるほどなぁ。


「よし、決めた」

「どうしたんだい?もしかして、聖女様を差し出す気になったとか?」

「ファム、アレクシア。2人で地下に囚われている人たちの開放をお願いして良い?」

「ボスの指示なら仕方ないにゃ」

「私もそっちのほうがいいですね。ここには居たくないです」


 ファムとアレクシアが、普段からは想像もつかないほど冷たい表情になっている。

 アレクシアなんて特に、クールビューティーとしか表現できないレベルだ。

 これがあのアレクシアだと言われても信じられんけれど、それだけイラっとしているのだろう。


「……おい、貴様ら!俺達の話しをき」

「次に、ソフィアさん。結界をお願いして良い?」

「結界とな?ワシらを守るようにか?」

「いや、あのホストどもを逃さないように」

「……ふむ、良かろう!面白そうじゃ!」


 すぐに広域の結界が張られた。

 自分たちが囚われた事に気がついたイケメンだちだけれど、ファムとアレクシアは結界の外だし、中にいる敵は俺とソフィアさんと懐かしデザインのロボだけ。

 まだ余裕なようで、態度が随分偉そうだ。


「いい度胸だな貴様ァ!」

「最後に、イチゴ」


 努めて相手のイケメン共の発言は無視する。

 もうコイツらと話した所で、俺達に得られるものは無さそうだし。


『ピガ?』

「お前には、準備をしておいて欲しい」


 両手に、木刀を具現化し、イケメン共へと歩み寄る。

 だけど、イケメンたちの怒りの声には全く反応しないまま、イチゴに指示を出した。


「あのサビサビバリカンのな」

『ピピガ!』


 その力強い返答を聞いてから、俺は、音を置き去りにして踏み込んだ。



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