第241話
「また来いよ大試!」
「今度はニンゲンの国の料理のレシピをもっと教えてくれ!」
「お前ら食事に目覚めすぎだろ……作り方知ってる料理大体教えたぞ……」
俺の周りに、クラスメイトの野郎どもが集まっている。
人間の見た目とそう変わらない奴もいるけど、基本は筋肉ムキムキのアニマルヘッドとか、魔族と言われてイメージするような見た目の奴らが多い。
つまり、めっちゃむさ苦しい。
これが全員女の子だったら、それはそれで困っただろうけれど、だからって男に囲まれるのもなぁ……。
まあ、なんだかんだで、友達っぽい感じの奴らがこうして再会を願ってくれるには嬉しいもんだ。
「聖羅様!またのお越しをお待ちしております!」
「最後にもう一度その美しく悍ましい魔力をお見せください!」
「有栖たーん!わしをその聖剣のサビにしてくれー!」
「エリザ様ー!次の魔王になってくださーい!」
「ファムちゃーん!オムレツにハート書いてくれたら幾らでも払うぞー!」
「ソフィア様ー!またファッションショーしてくださいねー!」
それに比べ、俺以外のメンバーのファンは、老若男女を問わない。
別に羨ましいとは思わないけれど、華やかさは段違いだなぁ。
芸能人がやってきたときの空港みたいなことになっている。
俺の周りは、転校していくクラスメイトの周りに集まった男子高校生ってノリだからなぁ。
いや、集まってるのが魔族ってだけで、男子高校生なんだが。
「大試さん、娘とクレーンをよろしくお願いします。私は、こちらで移住の準備を進めておきますので。もしかしたら、たまに会いに行くかもしれませんが」
「はい!っていっても、ドラゴンを害せる人間がどれだけいるもんですかね……」
「お母様!心配し過ぎだろう!」
「いろんな服を作れるようになっておくね」
結局カメリアさんはこちらに残ることになった。
少なくとも、出産まではこちらに来るのを我慢するらしい。
もっとも、その気になれば空中出産だってできると豪語していたので、気がついたら人間の街へやってきているかもしれんけど。
因みに、本来のドラゴンはわからんけど、少なくとも魔族とされているドラゴンたちは、卵ではなく赤ちゃんの状態で子どもが生まれるらしい。
なぜかそれをネットリとカメリアさんに説明されたんだけど、何なんだろうなあの圧は……。
結局こちらから新たに人間の領域へと新たに向かうことになった魔族は、ドラゴンのルージュとクレーンさん。
そして……。
「あのぉ……あちらでは、どんな苦痛グッズがあるのでしょうか〜?」
「悪い、そんなもんを調べたことがないからわからん。できれば、わかりたくない」
「そうですか〜。では、楽しみにしておきますね〜」
狼耳のミリスがついてくることになった。
大丈夫かなコイツ?
なにか変なことして、警察に捕まったりしない?
更に、もう一人新たな仲間が!
『ピッガガ!』
「そうやって話すのも今が最後かもな。アイがボディを要しいてくれるはずだから、その話し方もそこまで長くないだろうし」
『ピガガピッ』
旧文明のAIが入っているレトロロボ、イチゴは、俺の頭の隣で喜びの舞を舞っている。
本人曰く、「役に立つぞ!役に立つぞ!マスターの役に立つぞ!」との事だけれど、一応そんな大層なことしなくて大丈夫だぞと伝えている。
旧文明をハチャメチャにしたらしいイチゴが頑張ると大変なことになりそうだから……。
「大試。そろそろ帰ろう?」
「明日はもう新学期ですからね!」
「夏休みろくなことできなかったにゃ」
「そうー?すごくエンジョイしてなかった?」
「ワシは割と楽しかったのう!知らん文化を知るのはいつの時代もワクワクするもんじゃ!」
なんだかんだで、気がつけばいろいろな出来事あったな。
もりだくさんだったなぁ……。
「またな!」
それを最後に、魔王のワープで消える俺達。
気がつけば、王城の中だった。
そして、あーあ……夏休み終わっちゃったな……。
水着回無かった……。
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