月刊「ララ・ライフ」

船越麻央

私が好きなのは……

 私はたまたま訪れた図書館で、一冊の雑誌に目がいった。


 月刊「ララ・ライフ」


 女性向け雑誌のコーナーに置いてあった。そう言えば彼女の部屋でも見たような気がする。

 内容はファッションや美容が中心の月刊誌だ。


 その雑誌を見て、私は彼女に無性に会いたくなった。

 そこでその夜、彼女の部屋を訪ねた。

 テーブルの上に例の「ララ・ライフ」があった。


「久しぶりね」

 彼女はお茶を入れながら屈託なく言う。

「うん、久しぶり」

「元気だった?」

「まあまあかな」

「相変わらず仕事忙しいの?」

「まあまあかな」

「ふふ、そればっかり」


 会話が途切れた。私は彼女に入れてもらったお茶を飲みながら、次に話すことを考えていた。


「ねえ」

 私は口を開いた。

「なに?」

「私のこと怒ってる?」

「そんな……急に何を言い出すの」

 彼女は困惑している。


 でも、私ははっきりさせたかった。


「私ね……あなたから彼をとったわけじゃないんだ」

「…………」

「彼からあなたをとったの」

「ど、どういうこと?」

 彼女は驚いて私を見つめた。


「ごめんね、急にヘンなこと言って。でもあなたの誤解を解きたかったんだ。彼とは何もないの。ほんとよ。怒らないで聞いて。私が好きなのは……私が好きなのは、あなたなの!」


 私はほとばしる想いを一気に伝えた。

 彼女は固まっている。


 私はテーブルの上の「ララ・ライフ」に目がいった。確か占いのコーナーがあったはずだ。

 私はページをめくってそのコーナーを見た。私と彼女の相性は最高だった……。


 私は呆然としている彼女を置いて部屋を出た。涙が止まらない。


 心の中で彼女に詫び続けていた。

 でも彼女を好きな気持ちは変わらない。


 その時、彼女の部屋のドアが開いて彼女が飛び出して来るのが見えた。


 そして彼女は、私に飛びついてきた。


 私はしっかりと彼女を受け止めた。


 彼女の体は柔らかかった……。


 了



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月刊「ララ・ライフ」 船越麻央 @funakoshimao

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