第49話 お出かけ
はぁ……せっかくの俺の自由時間が……
俺は自室で着替えながら肩を落とす。
あれから何もやましいことは決していないとなんとか説明したんだが……あの感じはまだ全然疑ってそうだ……
まずい……まずいぞ……俺はこの世界に魔法少女とのラブコメをしに来たんじゃない、曇らせを拝みにきたんだ。
絶対に極上の曇らせを拝んでやる!
俺は再び心に強く誓うと扉を開け、部屋の外へと出た。
「お待たせ」
「全く、遅いわね。いつまで待たせるつもり?」
「仕方ないだろ? さっきまでくつろいでたんだから」
ルナに「どうせ暇なんでしょ? 付き合いなさい」と言われ仕方なく着替えたが……もっとホテルでくつろぎたかったなぁ……
「では速水くんも来ましたし、行きましょうか。」
そして三人揃ってホテル内を移動する。
やっぱすげぇな……このホテル、廊下まで豪華だ……このカーペットもすごいふかふかだし。
ホテルの内装を見ながら歩いていると突然手が摘まれる。
「って!?」
「どうかしましたか? 速水くん。」
「い、いえなんでもありません」
俺は心配そうに眺めるノアにそう言い聞かせてから犯人であるルナを見る。
まるで何事もなかったかのように優雅に歩くルナは俺に馬鹿にするような視線を向けてくる。
「おい、どういうつもりだ」
「なんのことかしら」
「とぼけてんじゃねーよ! なんでいきなり抓るんだよ!」
「別に、ただ優菜に鼻の下を伸ばしているあなたが気持ち悪かっただけよ」
「理不尽すぎない?」
そうして広大なホテルの館内をしばらく歩いているとホテルのロビーへと到着した。
豪華絢爛なシャンデリアに照らされたロビーにはバー、グランドピアノ、ビリアードなどが用意されていて夜になると極上の酒を味わいながらプロのピアニストの演奏を聞いたり、ビリアードをしたりして楽しむことが出来るらしい。
まぁ、俺達は消灯時間的に無理なんだけどな。
ノアはロビーに着くと待ち用のソファへと向かう。
そこには絶世の美少女達が座っていた。
「みんな、お待たしました」
「あ、来た!」
「お腹……空いた……」
「……」
そこには残りの三人の魔法少女達が居た。
そしてこの場に魔法少女が全員揃う。
俺はこれから起こることの不安よりも久しぶりに魔法少女が全員集結しているところを見れて感動していた。
ああ、いい……最近はクリスティナがいなかったから完璧な魔法少女達は見れていなかったけど……やっぱり魔法少女は五人全員そろってこそだな。
そしてそれは曇らせも同じだ、一人一人の曇らせもいいが五人全員が曇ることでもっと素晴らしくなる。
やはり魔法少女は五人で一つということだ。
……さて、俺的にはもうめちゃくちゃ満足したから帰りたいんだが。
「ではみんな、行きましょうか。アルトゥヌム観光へ」
「「おー!」」
「ええ」
「……おー」
うん、知ってた。
俺はもうラブコメの波動に逆らうことは愚かだと悟り彼女達の後に続いた。
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