第46話 到着
翌日、少し早めに目が覚めた俺は朝食をとるためにレストランに来ていた。
夜は自腹だったが朝のビュッフェは和食に焼きたてのパン、味噌汁、コーンスープなどが揃った豪華仕様でなんとタダ。好きなだけ食べることが出来る。
俺はサンドウィッチとコーンクリームスープをとり空いている席に座る。
海に反射する朝日を眺めがながら朝食をとる。
あぁ……実にいい朝だ……偶にはこうして朝日を眺めながら朝食をとるのも悪くない……今日はきっと素晴らしい1日になるだろう。
そう思っていると誰かが俺の近くへと寄ってくる。
「速水くん、おはようございます。」
「……おはようございます、来栖さん」
……曇らせの女神様や、今日は出勤日じゃなかったですか?
「ご一緒してもいいですか?」
「ええ、もちろんですよ」
「ふふ、ありがとうございます。」
ノアは嬉しそうに微笑むと俺の正面の席に座る。
「速水くん、昨日はよく眠れましたか?」
「ええ、昨日はとても楽しいことがあったのですごくよく眠れましたよ」
昨日は1日の最後にクリスティナの曇り顔を摂取することが出来た為めちゃくちゃ快眠することができた。
やはり曇らせはこの世の真理……ということだ。
全人類が曇らせの素晴らしさを知ることが出来れば世界は平和になると思うのだが……実に勿体無いな。
「ふふ、私と同じですね。私も昨日はとっても楽しいことがあったのですごくよく眠れたんですよ」
そう言うノアの表情は実に幸せそうだった。
一体どんないいことがあったんだろうか。
「やはりいいことがあった日はよく眠れますね」
「ふふ、そうですね。今日も早速いいことがあったので今日のアルトゥヌムでもきっと素晴らしい1日になると思います。」
そう、今日からいよいよ始まる、アルトゥヌムでのバカンスが。
アルトゥヌムには色んな観光スポットや遊び場があるが今回はそれが目的じゃない、昨日ルナが言っていたことが本当ならきっと天然物の極上の曇らせが今回も見れるはずだ。
俺の直感が告げているのだから間違いない。
「速水くんはもう予定を立てていますか?」
「いえ、まだ特に。」
「でしたら……予定がない日は私達と一緒に観光しませんか? アルトゥヌムのいいスポットをたくさん調べておいたんです」
……やっぱりなんか最近おかしくない? 曇らせの女神様ラブコメの女神に乗っ取られたんですか?
正直、今回は単独行動をしようかと思っていたが……だが案外この提案も悪くない。魔法少女の近くにいれば曇らせを近くで見ることが出来る。
その代わりにモブとしての存在意義を失うがまぁ、そんなものは極上の曇らと比べれば安いものだ。
「わかりました、空いてる日があったらお言葉に甘えさせてもらいます」
「ふふ、速水くんだったらいつでも歓迎してますよ。」
「ありがとうございます」
「あ、速水くんお口におひげができてますよ。少しじっとしていてくださいね」
そう言うとノアはハンカチで俺の口を優しく拭き取る。
「はい、綺麗になりましたよ。」
「あ、ありがとうございます」
「ふふ、どう致しまして」
ラブコメの女神や、俺にラブコメの呪いをかけるのはやめてくれ……
◇
朝食を撮り終わりしばらく自室くつろいでいると船内放送が流れる。
『間も無くリゾート都市アルトゥヌムに到着致します。荷物をまとめて下船の準備をお願いいたします。』
さぁ、いよいよだ。
これからアルトゥヌムでのバカンスが始まる。
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